でっきぶらし(News Paper)

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5年間のボランティアとの関わりの中で

 私が、友の会ボランティアとして当園に関わりはじめて、もう5年になります。気がつけばこの間、予想だにしなかった大きな変化がありました。私自身はボランティアから職員になり、友の会ボランティアとは別に「ガイドボランティア」を作る仕事に携わりました。それから更に丸2年が経っています。

 最初の2年は私は友の会のボランティアのとして、とにかく色々な活動を試すことと、ボランティア内部の連絡を密にするように心がけたのですが、とにかく人手不足で四苦八苦していました。そんな活動を2年間行い、大学を卒業した私は市役所の職員となったのですが、(まさかいきなりこうなるとは思ってなかったのですが)幸運なことに動物園に配属され、ボランティア担当となりました。
 そして、さらに幸運なことに、配属されたその年にガイドボランティア養成講座を行うことが決まっていたのです。もろもろの経緯はこの際省略して、とにかく年が改まった1月から3月にかけて講座が実施され、6班40人のガイドボランティアがデビューしました。皆さん、とても熱心に活動してくれ、定例活動日が雨天中止になると、別の日に自主活動したり、活動の内容を良くするために集まってミーティングを行ったりしてくれたのです。

 しかし、この頃、私自身は大きな問題を抱えていました。それは、「原曹ニして活動には立ち会わないこと」という制約です。理由は色々あるのですが、もともとボランティアだった私にしてみれば、一番おもしろい活動現場に出ることを制限されたのは、非常につらいことでした。しかし考えてみれば、ボランティア活動を支えるための裏方の仕事はたくさんありますし、一人の人間ができる仕事の量なんてわずかなものです。それならば、職員でいる間は裏方に専念して、現場はボランティアの皆さんに頑張ってもらった方が良い活動ができると考えるようになりました。
 そんな私の葛藤とは別のところで、ボランティアの皆さんも色々な苦労に直面していました。大きな問題の1つは連絡網というシステム。そしていま1つはボランティア同士の面識の問題です。

 40人のボランティアの皆さんは6つの班に分かれて、毎月1回1時間ずつの定例活動を組んでいました。このやり方には賛否両論あるでしょうが、私は、ボランティアの最大の魅力は、気の合う仲間と一緒に活動することだと思っています。また、活動の内容はボランティアさん達が自ら模索して、徐々に質と量を改善してゆく方がいいと考えています。しかし、月1回のグループ活動を維持するためには、活動の前にある程度の人数が揃うことを確認しなければなりません。そのために電話連絡網が必要なのですが、これが私の想像以上の心理的な負担になってしまったようです。
 私自身は、友の会にいた頃に何度も電話をかけ回す体験をしており、連絡網の必要性を強く感じています。例えば、自分自身がそうだったのですが、やっぱりボランティアとは言っても、自分が行かなくても人数が足りるなら、他の用を入れたくなるのが人情というものです。さらに参加したての人にとっては、知らない人ばかりの活動に飛び込むのは、なかなかに勇気のいることでしょう。活動のためには、班内の仲間意識を作ることが何より大切ですし、そのためには各班のリーダーさんやサブリーダーさんから「活動に来てくださいね」と呼びかけることが必要だと思うのです。

 もう1つの問題は、各班の定例活動日を重ならないように振り分けたために起きた問題でした。つまり、他班の人と会う機会がほとんどなく、全体連絡会に来る少数の人しかお互いの顔を知らない状況だったのです。ボランティア全体の改善策をみんなで考えてゆく上で、これは非常に大きな問題でした。ボランティアの状況を一番よく知っているのが担当職員では、担当職員の限界がボランティアの限界になってしまいます。そして、私一人ではほとんど何も実現できないことは、自分の過去の経験を思い起こせば、痛感せざるを得ませんでした。
 途方に暮れた私が、ガイドボランティア活動初年度の最後に行ったのが、コーディネーター会議でした。これは平たく言えば、どんな問題があるのかを出しあって、みんなでその改善策を考えるというものです。そして、活動2年目となった去年、様々な改善が行われました。特に、連絡紙の発行・ふれあい班の活動・研修の実施などは、ボランティアさん達の自発的な活動として始まりました。いずれも私一人では到底できなかった活動であり、組織としてのボランティアが、担当職員の限界を越えて成長している証拠だと思います。

 しかし、まだまだ本当に課題だらけの現状です。なんとか安定して活動できるようになって、ゆくゆくは動物園のパートナーとして欠かせない存在になって欲しいと願ってやみません。

(佐渡友陽一)

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