40号(1984年07月)2ページ
幼児動物教室
先日“飼育の集い”が開かれました。日本平動物園の飼育係の呼びかけに呼応して、全国各地より21園、50数名の飼育仲間が集合。これと言った主題が設けられた訳ではなかったのですが、互いの悩みをぶっつけあって、様々な情報交換が繰り広げられました。
夕刻よりの懇親会から2次会。1杯入った上に親密さが加わると、熱気はいよいよピークに。方々で本音の中の本音が吐露、カンカンガクガクの論戦をやり合うグループもありました。
そんな話題のひとつに、担当替えがありました。いつ頃どんな風に担当動物の交替があるのか、それぞれ深く関心があったようです。日本平動物園にしても、予定の担当替えの時期が刻々と迫り、話題に上ることが多くなりました。
自分がいったい何処を担当することになるのか、3年はやらなくてはいけないのですから、只事ではありません。それも単に肉食獣から草食獣に、あるいはサル類に替わるといった単純なことではなく、場合によっては汚物の焼却、帳簿の整理や飼料の分配の仕事も回ってきます。子供動物園のように、幼児の相手が主体になるところもあります。
飼育係にとって、動物が好きだから動物をうんと可愛がる、健康を維持し繁殖をさせることだけを考える、それだけでは通用しなくなっています。苦手、嫌いを作ってはいけないのです。動物の汚物処理や飼料分配も大事な仕事です。一方、社会教育に代表される動物園の目的も、決して忘れてはなりません。
社会教育、子供動物園がその最たる担い手といえるでしょう。ここでは、幼稚園、保育園児を対象に、幼児動物教室が春と秋に行なわれています。それが最も大事な仕事となっています。
幼児がどんなに苦手でも、子供動物園では通用しません。むしろ、いろんな動物を触らせ、抱かせ、あるいは餌を与えさせたりする中から、幼児の反応を見て、その心を読むことすら要求されます。乱暴に扱う子、恐がる子、動物に対する反応は、決して一様ではないのですから。
こんな格好いいことを言いながら、わたしは1、2を争う子供嫌いで通っています。2児の父親となっても、どうも多勢の子供は苦手です。これをまとめながら、そんな自分に対して大いに反省を促し、いつ子供動物園を担当しても、幼児と楽しく語り合うことができるように心掛けたいと思います。