40号(1984年08月)11ページ
7月 病院だより
毎日、朝から暑い太陽が照りつけています。人と会えば必ず『暑いですね!』と、つい言葉がでてしまいます。
暑さにまいるのは人間ばかりではありません。以前にもお話したように、慢性の気管支炎を患っているオランウータンのクリコも、自分の体温調節がうまくゆかず、このところ夕方の体温が上がり気味。ですから、“グター”と寝て、眼はうつろ(我々はサバ目と呼んでいます)で、さっぱりとした物以外は口をつけません。担当の松下飼育課員は、夏ミカン、ブドウ、モモ、スイカといろいろ品を変え、少しでも食べさせようと休み返上でがんばっています。
次いで猛獣君達、私が夕方見回るころには、だいたい餌を食べてしまっていましたが、7月に入ったころから、ピューマのオス、ライオンのメス、トラのオス、ウンピョウと、残餌が目立つようになりました。朝までには、だいたい食べていましたが、この1週間ばかりピューマのオスは、ほとんど食べず、横になっています。この個体は、開園以来飼育していますし、当初すでに成獣でしたから、17才以上ということになります。ペットの猫のように口元までミルクや肉を持っていってやれず、どうしたものか思案中です。
また、オウサマペンギンが餌を食べなくなってしまったので、7月27日、冷房のきいた病室に移しました。ペンギンは、御存知のように暑さに弱く、体力が低下してしまうと肺にカビがはえるアスペルギル症という病気にかかりやすいのです。
このように、あちらこちらで夏バテの動物が続出!はやく涼しい秋がきてもらいたいものです。
(八木智子)