60号(1987年11月)10ページ
動物の食べ物 第9回 夜行性動物館その2
ワシミミズク、日本の野鳥をいくら調べてもワシミミズクうんぬんのコーナーはでてきません。出てくる筈はないでしょう。北海道以外にはいないのですから―。
それが昨年2羽も保護されました。翼を広げれば1メートル以上もあるでしょうから、最初人家の周りをうろうろしているところを見つけられた方は、さぞやびっくり仰天なさったのでは―!?
恐らくペットとして購入、しばらく飼い続けたもののもてあまし、苦慮、安易な放鳥につながったものと思います。そう、生き物を飼うのは大変なことです。何たって口があるのです。口が餌を求め続ける限り、盆も正月もあったものではありません。
ワシミミズクのような猛禽、ヘビやトカゲ、ネズミやらを主食にしている鳥なら、1週間や2週間食べなくたって頑張り通します。だからといってそんな飼い方をしてよいという道理はありません。飢えに強いのは、彼らが自然界において万、万が一の厳しい状態におかれても耐えぬいてゆけるように、と与えられた彼らの力です。私たちだって、3〜4日水だけで生活したってそんなに健康を害するものではありません。でも、耐える気がするでしょうか。空腹は最大の悲しみの筈です。
開園以来の2羽から更に2羽が加わって、賑やかになったワシミミズクの部屋。その4羽が仲が良いのか悪いのか、直接の関わりはなかったので何ともいい兼ねます。しかし、少なくとも飢えから解放されていることだけは確かです。
(松下憲行)