28号(1982年08月)4ページ
動物園アンケート 〜1000人に聞きました〜
動物いろいろベスト10に続き、今回は動物園友の会々員の協力を得て、動物園に来られるお客様1000人を対象に、動物園アンケートを行なってみました。動物園に来るお客様が、どんな気持ちで園内を見学しているのか、また、どんな印象を持たれているのかを知る事も、動物園に働く職員として大事なことだと思います。
今回の調査でまず感じたことは、普段あまりお客様と接していない飼育係が、「すみません、動物園アンケート調査に御協力お願いします。」という一言を切り出すのに、とても勇気が必要だということでした。只、今までは、動物優先に物事を考えていた私たち飼育係は、アンケート調査をすることにより、お客様と接し、お客様の気持ち、考えを知ることで、私たちにとっても、有意義なことだったと感じています。
<第1回アンケート結果>
実 施 日:5月16日・23日
対象人員:1000名(男465名・女535名)
●年齢別内訳●
0〜9才・・・145名
10〜19 ・・・182名
20〜29 ・・・290名
30〜39 ・・・298名
40〜49 ・・・ 40名
50〜59 ・・・ 22名
60〜69 ・・・ 12名
70〜79 ・・・ 11名
1.入園者の類別
アンケート調査を行ったのが日曜日ということもあり、家族連れが圧倒的に多く、全 体の71.7%をしめ、次いで友人同志が21.3%、その他(子供会などの団体)が 7%でした。
「家族」・・・717名 「友人]・・・213名 「その他」・・・70名
2.入園者の居住地
なんといっても市内のお客様が多く、440名(全体の44%)、次いで、静岡市に隣接する市(清水・焼津・藤枝)からの入園者が217名、県西部165名、県東部155名と、県内のお客様がほとんどで、全体の97.7%、他県からのお客様は残りの2.3% でした。
県外の方で遠くからは、宮崎・奈良・京都・東京方面から見え、これらの方のほとんどが、静岡の親類、知人宅に遊びに来て入園された人達でした。
3.来園回数(1年間の来園回数)
最も回答の多かったのは、1回と答えた方で、404名(全体の40.4%)、次いで2回の202名(全体の20.2%)、3回の164名(全体の16.4%)となり、中には15回と答えた方も6名ほどいらっしゃいました。
4.利用交通機関
当園の所在が郊外にできた動物園だけに、電車などの交通機関もなく、入園されるほとんどの方が自家用車で見え、バスを利用される方は全体の14.9%に過ぎません。また、近くの方は混雑をさけるために、徒歩あるいは自転車で来園されるようで、子供達だけのグループでは、10km以上離れた所からでも、歩いて来ていたようです。
「自家用車」・・・736名 「バス」 ・・・149名
「タクシー」 ・・・27名 「その他」・・・88名
5.来園理由
このアンケートの中で一番楽しみにしていたのが、この来園理由でした。
そこで、家族で来園されたお客様に聞いてみました。「来園の理由はなんですか?」の問いに、 「動物が好きだから」「子供にせがまれて」等の答えがほとんどでした。次に、友達同志のお客様に聞いてみると、 「デートの場所に」「行く所がないから」などのユニークな解答がかえってきました。
これらの解答のように、家族連れのお客様は、子供にせがまれて、又は、安く遊べるからと、生活の中から動物園を選び、友達同志などでは、他に行く所がないために動物園を利用しているようです。
「動物が好きだから」・・・384名 「子供にせがまれて」・・・311名
「安く遊べる」 ・・・106名 「時間つぶし」 ・・・92名
「子供に見せる」 ・・・55名 「その他」 ・・・52名
6.動物園に何時間いましたか
2時間から3時間と答える方が多く、4時間から6時間と答えられた方はほとんど家族連れのお客様でした。
「1時間」・・・81名 「2時間」・・・355名 「3時間」・・・348名
「4時間」・・・137名 「5時間」・・・59名 「6時間」・・・20名
7.園で気に入った動物
『ベスト10』
(1)インドゾウ(201票) (2)キリン(130票) (3)ペンギン(112票)
(4)レッサーパンダ(90票) (5)サル類(76票) (6)ホッキョクグマ(71票)
(7)ヘビ(56票) (8)ライオン(48票) (9)ニホングマ(31票)
(10)アシカ(30票)
以上がベスト10入りした動物たちで、おしくも入れなかった動物たちも、ここに紹介しておきます。
(11)リスザル(27票) (12)トラ(26票) (13)ゴリラ(24票)
(14)フラミンゴ(19票) (15)ヤギ(17票) (16)オランウータン(15票)
(17)鳥類(14票) (18)その他(13票)
※その他
アライグマ、クジャク、オオアリクイ、チンパンジー、ワニ、マレーバク等
8.将来入れてほしい動物
なんと言ってもジャイアントパンダが多く360名、全体の36%といまだにジャイアントパンダの人気は大きいようですが、日本平動物園でのパンダの飼育は、いろいろな面から考えても夢で終わりそうです。そして、次に名前があがるのが、カバ198名、オオカミ133名、サイ93名と大型動物の少ない当園でのアンケートでは、なるほどと、うなずける動物たちの名前があがってきていました。
「ジャイアントパンダ」・・・360名 「カバ」・・・198名 「オオカミ」・・・133名
「サイ」・・・93名 「チーター」・・・55名 「その他」・・・47名
「不明」・・・114名
9.園の印象
私たちが普段なにげなく見ている、園内の緑などが、来園されるお客様にとって、ゆっくりとくつろげる場所になってきているようです。
「緑が多い」・・・254名
「動物が見やすい」・・・247名
「いろいろな動物が見れた」・・・151名
「広い」・・・65名
「つかれた」・・・62名
「その他」・・・170名
「不明」・・・51名
10.園の行事を知っていますか
年間を通じていろいろな行事が行われています。春・秋の写生大会、動物といっしょに記念撮影、小学生を対象にしたサマースクール、年間を通して行われる幼児動物教室。しかしこれらの行事もまだまだ知らない方も多く、今回の調査でも、半数近くの方が知りませんと答えています。
「知っている」・・・566名
・写生大会(377名)
・動物といっしょに記念撮影(77名)
・サマースクール(68名)
・幼児動物教室(44名)
「知らない」・・・434名
11.動物園への意見・要望
「日影がほしい」・・・198名
「駐車場を広く」・・・93名
「動物を殖やしてほしい」・・・77名
「芝生の広場がほしい」・・・76名
「動物園の拡張」・・・63名
「休憩所をふやしてほしい」・・・62名
「交通の便が悪い」・・・43名
「その他の意見・要望」・・・275名
・駐車料金を安く(38名)
・緑をもっと多く(35名)
・動物相談所の設置(32名)
・動物に触れたい、餌をあげたい(30名)
・入園料を上げないでほしい(29名)
・無料の遊具がほしい(27名)
・案内板が少ない(25名)
・行事をもっと知らせてほしい(20名)
・展望地に他の動物を入れてほしい(20名)
・動物舎の拡張(19名)
以上のように、動物というより、家族で1日ゆっくりくつろげる公園的な動物園を望んでいるようです。
以上が、今回行ったアンケートの集約結果です。
ここに載せられた結果が、来園されるお客様すべてに、あてはまるものではないと思いますが、私たち動物園職員が、今後の仕事をしていく上で、少しでも役立てばよいのではないでしょうか。
去る、7月26日、当園の飼育研修会に、講師として、名古屋市東山動物園の浅井園長をお招きし、その講義の中で、「動物園職員(飼育係)は、お客様と動物のパイプ役でなくてはならない。」という言葉を述べておりました。ただ掃除をして、餌を与えるだけの飼育係ではなく、自分の担当する動物の観察と共に、お客様と接し、自信をもって、その動物の説明ができ、見るだけの動物園から、来園されるお客様が、一つでも学ぶ事のできるような、プロフェッショナルの飼育係であれという事である。
私たちも、このアンケート調査を通じて、お客様と接し、話しをしたことにより、その浅井園長の言われた言葉にも、素直にうなずく事ができました。
これからも、動物園がお客様の憩いの場とし、又子供達の学習の場として、より大きく発展して行く為に、動物園職員1人一人がパイプ役となり、お客様と一体になって進んで行かなければならないのではないでしょうか。
最後に、アンケート調査に御協力下さった、動物園友の会々員及び、動物園職員の皆様、大変御苦労様でした。でっきぶらし編集員一同心から御礼申し上げます。
(藤沢 誠 鈴木和明)