でっきぶらし(News Paper)

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フラミンゴの産卵

(渡辺明夫)
当園では現在、チリーフラミンゴ18羽、ベニイロフラミンゴ9羽、コガタフラミンゴ5羽の計3種類32羽のフラミンゴを飼育しています。これらの殆どは、昭和44年開園以来飼育されてきたもので、昼間は放飼場で展示し、夕方になると寝室に収容するという方法をとってきました。その為に、これまでは繁殖はしませんでした。それでも毎年初夏になると、寝室に敷いてある砂をかき集め、巣らしきものを作るものが何羽かいましたが、とても産卵までには至りませんでした。この間、各地の動物園や水族館からフラミンゴが繁殖したというニュースが届き、当園でも早く繁殖に取り組まなければという声が起こってきました。数年前より繁殖を計る為の様々な案が出されましたが、実施には至りませんでした。
このような状況の中で、昨年ようやく収容施設の整備とフラミンゴの本切羽を実施し、本格的に取り組むことになりました。その結果、早くも今年に営巣を始め、開園以来初めての産卵をみました。最初に産卵したのがチリーフラミンゴで5月24日、次も同じくチリーフラミンゴで6月11日でした。翌12日にはチリーフラミンゴとベニイロフラミンゴが産卵しました。続いて6月20日にベニイロフラミンゴ、25日にはチリーフラミンゴがそれぞれ産卵しました。その他種類が不明の1卵が6月11日に産卵したチリーフラミンゴの巣の中に産み落とされていました。普通フラミンゴは1産1卵で、2卵産んだという話はあまり聞いたことがありません。もし他の鳥が、産み落としたとすれば困った現象です。ホトトギスの仲間は託卵といって違った種類の巣に産卵し、その親鳥に自分の卵を育てさせます。もちろんフラミンゴには託卵性はありませんが、人為的につくられた環境ですので、他の鳥が産んでしまったということも十分に考えられます。それ以後も、7月2日に産卵したチリーフラミンゴの巣に、8日にもう1卵産み加えられていました。
7月31日現在、チリーフラミンゴ7卵、ベニイロフラミンゴ3卵、種類不明が2卵の計12卵の産卵がありました。このうち孵化したのは1羽のみで、残念ながら翌日には死亡してしまいました。孵化予定日を過ぎても変化が見られず、調べてみたところ無精卵であったものが4卵あり、抱卵中割れてしまったのが5卵ありました。破卵した卵のうち1卵には24日まで成長した雛が入っていました。フラミンゴは雌雄交替で卵を暖め、約1ヶ月で孵化しますので、あと1週間もってくれれば無事孵化したかも知れません。破卵については、はっきりした原因はつかめていません。残りは2卵となってしまい、うち1卵は親鳥の抱卵意欲が見られず。孵卵器に入れました。
他園館の繁殖状況をみても孵化率が2〜3割と低く、数多く繁殖しているところはあまりないようです。原因はいろいろあると思いますが、当園でも考えられる問題点をひとつひとつ取り除き、施設の改良をして来年は少しでも繁殖率を上げるよう努力していくつもりです。

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