29号(1982年10月)3ページ
中国西安市へ動物を贈る 〜ダチョウ1羽(メス)、クロヒョウ1番〜
(静岡市動物贈呈団長・柳川正一)
静岡市民の中国友好の心こもった贈り物、ダチョウ1羽(メス)、クロヒョウ1番を、たずさえて静岡市動物贈呈団が、8月17日に中国西安市に出発しました。団員は柳川団長、三宅・鳥羽飼育課員の3名です。
成田空港から動物と同じ航空機で、上海につきました。上海からは小型の中国民航空機のため、大きいダチョウは鉄道貨車で送り、クロヒョウは贈呈団と一緒の航空機で、西安市へ無事到着しました。21日に西安市動物園で贈呈式が行われ、土金彰副市長他百余名の関係者、市民の参加の上盛大に行なわれました。中国ではクロヒョウは大変珍しく、貴重な動物だと大歓迎されました。
西安市動物園に、静岡市から2年前に贈られたキリン1番、ダチョウ(オス2羽)は広々とした施設と、良い環境のせいか、とても毛艶が良く立派に成長しておりました。来年あたり、2世の出産が望めることと思われます。
今回の訪中団のもう一つの目的は、前々から静岡市からお願いしていたレッサパンダ(アンアン)の補充を実現する事でした。幸いに土金彰副市長より快諾の返事があり、10月8日にそのための訪日団の組織を考えられている事が確認できました。静岡市に送られる予定のレッサーパンダも見る事ができました。元気そうな個体です。今度こそ丈夫に育てて繁殖させ、西安市の好意にむくいたいものです。このレッサーパンダの贈呈と併せて、夜行性動物の希望をお願いしたところ、西安市としては要望に添えるように努力する旨回答がなされたので、期待しているわけです。
西安市の動物園では、飼育関係者と私共との飼育研修会も行われました。通訳を通しながらですが、他園の知識を少しでも吸収しようとする意欲がひしひしと感じられ、夜のふけるのも忘れさせてくれるひとときでした。
中国の代表的動物園の上海動物園、北京動物園も見学できました。中国の動物園は、どこも非常に広大で、日本平動物園の数倍もある緑豊かな動物園という感じです。獣舎の建物もなかなか立派なものが多く、又放飼場なども広々とし、草食獣の放飼場でさえ青草が茂っているのも印象的でした。
動物の種類は、さほど目立って多くはないが、特に自分の国の動物の展示が積極的に行われ、入園者に自国の動物の生態を印象付けようとする努力が感じられ、ややもすると珍貴な動物の展示にのみ意欲的な日本の動物園屋にとって、ちょっと考えさせられる事ではないかと思ったりしました。
初めての中国への8日間、短くはあったが、動物というものを通じての民族をこえた誠意を胸一杯にうけとめながら、24日無事役目をはたし帰静しました。