でっきぶらし(News Paper)

« 30号の2ページへ30号の4ページへ »

繁殖賞について

鳥類の繁殖を紹介する中で、アカガシラエボシドリのことについて触れた時、繁殖賞を受賞している旨をお伝えしました。そこで、繁殖賞とは何か、いつ頃制定されたものであるかを、説明したいと思います。
これは昭和32年日本動物園水族館協会(任意団体)によって制定され、39年に改正を経て、40年11月22日社団法人となって、そのまま他の規程と共に継承されました。その後48年、49年に一部が改正されて今日に至っています。
原曹ニして(社)日本動物園水族館協会に加入している園館が、我が国において初めて、自然繁殖もしくは人工繁殖に導いて、6ヶ月以上生存した場合に与えられる賞です。
日本平動物園においても、開園した翌年にダマワラビー(昭和44年9月10日生)を自然繁殖で受賞したのをはじめ、最近のキンバト(昭和55年6月23日孵化)に至るまで7回受賞しています。ただ、「あの動物園は繁殖賞をねらいすぎる。珍獣を購入したりしてわざとらしい。」と言う批判を、耳にすることがあります。本来飼育技術向上をめざし、繁殖を図る中で、それが時に我が国の動物園で初めての繁殖であった場合に、受賞すべきものです。わざわざ繁殖賞狙いは、やはり問題があると思います。逆に、ゾウのように、どこの動物園でも飼育され、大衆の圧倒的な人気の的の動物でありながら、まだ1頭も育っていないと言う、うそのような本当の話しもあります。
動物園や私たち飼育係の持つ課題は、意外にも多いものです。いずれ、こういう問題をとらえながら、繁殖賞の特集を組んでみたいと思います。

« 30号の2ページへ30号の4ページへ »