33号(1983年06月)1ページ
人工哺育(その4) 〜介添哺乳〜
出産しても、育児方法を知らない動物(類人猿に多い)に、飼育係が手をかして、子供に母親の母乳を飲ませ、育児を教える方法として介添哺乳がある。
この介添哺乳をするのにはその母親である動物が良く馴致、調教されている必要があり、またキーパーと動物の信頼関係がうまくいっていないと行なう事ができない。
特にオランウータンには、介添哺乳を行なう事が多く、当園においても2回行なって2回とも成功している。普通は、数週間で授乳方法を覚え自ら母乳を与えようとするが、当園のクリコの場合には、1回目より2回目の方が、飼育係にたよってしまい、ほとんど自分から授乳させようとしなかった。
でも、子供を抱く事はできたので、時間をみては母親の乳首に子供をつけるだけであるので、完全な人工哺育よりは楽である。
出産した直後には、乳房も張り、子供が吸いつくと痛がったり、飼育係が強引に行なうと不安でいやがることもあるので、できるだけ母親に恐怖心を与えないようにすることが大切である。
クリコも次の出産からは、飼育係の手をかりずに育てていってもらいたいものである。