35号(1983年09月)1ページ
人工哺育 (その7) 〜 ゾウの場合 〜
幼く来園した動物も、人工哺育しなければならない原因のひとつである。
当園に昭和45年6月11日にインドのマイソール州より寄贈されたインドゾウのシャンティは、昭和44年4月25日生れで、まだ幼くミルクを必要とし人工哺育を行なった。
インドゾウのメス親の体重は3〜4トンにもなり、生まれたばかりの子でも100kgもあり、まさに地上では最大の動物である。野生の子ゾウの場合には、3年ぐらい母乳を飲むといわれており、シャンティも来園した当初は、生後約1才1ヶ月であることから、草や果実をほとんど食べようとしなかった。
そこで、ヤカンに20cmぐらいのホースを付けて、子牛用ミルクを湯でとかし、37度ぐらいにして飲ませたが、子ゾウといっても大きな体。多い時には、1回のミルクの量は、3,600ccも一気に飲んだ。最高1日4回与えた事もあり、12,600ccも飲んでいた。お腹いっぱい与えたらはたしてどのくらい飲むだろうか?と思うほどである。
成長にしたがい、ミルクの回数、量も減らしていき、食パン、リンゴ、青草等を与えていき、翌年の5月1日までミルクを与えた。