42号(1984年12月)2ページ
良母愚母 第二回
冬枯れ、何とも寂しい、わびしい、イメージが伴なう言葉です。季節は、その真只中に入ろうとしています。動物たちにとっても、ひたすら耐える時期に。無論、出産のニュースなどあろう筈がありません。
パルマワラビーが顔を出した、アキシスジカがうまれたと言っていたのは、十月の中下旬のこと。それ以降では、十一月十八日にチリーフラミンゴがかえったニュースがあるぐらいです。
いよいよ動物の健康が気になってきますが、この静岡あたりで、寒い、冷たい、凍えるなどと言っていると、北国の人たちに笑われるでしょうか。雪が降るのはせいぜい二〜三回、雪化粧でちょっぴり装いを変えたのは、十六年目に入りながらわずかに二度しかありません。静岡は暖かい、と言われるゆえんです。
そうは言いながらも、やはり気になる季節です。なまじ底冷えすることが少ないだけに、寒さに対する配慮が欠ける場合もあります。病気の動物が、直接の原因でないにしても、寒さが止めを刺したと聞くと、身につまされます。
十六年目ともなれば、老齢の動物も少なくありません。開園以来の動物も少しずつ減っています。そんな彼らが、今年の冬も無事に越してくれることを願って、そろそろ本題に入ってゆきましょう。