44号(1985年03月)4ページ
涙を飲んだ動物たち・その後【ラクダ】
先月号で述べた通りです。涙は、二度飲みました。ただ救いと言えば、救いになるかどうか分りませんが、わずかな期間ながら育児に励めたことです。
「ネネって思ったよりおとなしくてやさしいのね」とは、獣医がラクダの育児を見て漏らした感想です。介添哺育とは、だいたいが類人猿、特にオランウータンが通り相場。それが、子がうまくお乳を吸えない時に担当者が介添してやると、ネネは怒ることもなく、なすがままにさせた、と言うのです。
事故さえなければ、今さら悔やんでも致し方のないことですが、白っぽい毛に包まれ、足だけが妙に長い子の姿を思いだすと、やはり、悔いの念は消えません。