44号(1985年03月)11ページ
病院だより
今月のニュースのトップは、2月18日マサイキリンの出産があげられます。御存知のようにこの母親は、今までに2頭出産しているのですが、一度も自分で育てたことがないという問題のお母さんなのです。
夜間観察を開始して9日目の2月17日夜9時に分娩が始まりました。最初のうちは比較的落ちついていたのですが、出産と同時に目つき、態度が変わり、前肢を床にパーンとたたきつけました。「あ〜あ、ダメだ」これでどうやら、この徳子は一生子育てをやらないようで、キリンの人工哺育と言ったら、日本平動物園とでてくるような動物にとっては不名誉な、飼育技術としては名誉な(?)記録となりました。今回生まれた子はオスで、哺乳も最初から自分で吸ってくれ、人工哺育は順調にいっています。
次のニュースは、2月3日にタンチョウのオスが、ブリーデングローンで上野動物園より来園したことです。聞くところによりますと、現在日本の動物園で繁殖しているペアは4ペアしかいないそうなので、当園でも数?その仲間に加わりたいものです。オスもメスも人工育雛なので、人に対しあまり警戒心がなく、環境変化を、さほど気にしていない様子でした。2月10日に同居を試みましたが、お互いある程度の距離を保っているといった感じで、ペアリングはまだ時間がかかりそうです。
今年に入り、獣医日誌は何日何らかの診療事項があり、それも「○○状態悪化」とか「斃死解剖動物○○」といった項目が多いのです。そして不思議なことに限られた班の担当動物ばかりなのです。ですから、その班の人達に会うと、「いっしょに厄ばらいしに行こうよ!!」と、すべて神様におまかせしてしまいたい気分になってしまいます。こまったものです。
春よこい!!
はやくこい!!