46号(1985年07月)10ページ
動物園こぼればなし◎ジェフロイクモザルの奇癖
第一水禽池の島に住んでいるジェフロイクモザル夫婦、この夫婦のちょっと奇妙な癖を話しましょう。
私がいつもの台の上に餌を置くと、まずはパンだけを拾い、それを池の方へ持っていって放り投げます。そして、水が浸みこんだと思われる頃合いを見計らい、拾って食べ始めるのです。私達がミルクをつけて食べる仕草と、似ているような似ていないような―。
ところで、わざわざそんなことをしても、毎回必ず拾って食べられる訳ではありません。風の強い日などは遠くへ流れてしまい、池の主であるコクチョウやカモの餌になってしまいます。
それに島と水面の段差はきつく、隅々に打ちつけてある杭に、しっぽを巻きつけて体の半分以上を池に乗り出す、そんな危険も冒しているのです。
島にはちゃんとした水飲み場がありながら、池の汚れている水をつけて食べるなんて、余程いい味がついておいしいのでしょうか。何にしても、この奇癖には首をかしげます。
(飼育課員 池ヶ谷正志)