46号(1985年07月)12ページ
動物園こぼればなし◎どうしてナマケグマなの
私は昔から、ナマケグマの名の由来について疑問に思っていました。もちろんこの名は英名の「SLOTH BEAR」つまり、「ナマケモノのクマ」からきているのですが、なぜナマケモノなのかがわからなかったのです。
たしかに、壁に背もたれして、ボケーとしているのはよく見かけるのですが、忙しそうに動きまわったり、餌を食べる時のすごさからは、とても「ナマケモノ」を想像できないのです。
しかし、最近ある光景を目撃して、「これだ!」と思いました。その時、ナマケグマのオスはあおむけになり、頭を壁にもたれかけて寝ていたのです。これだけだといつもの事なのですが、その股間を見て驚きました。あおむけの下腹部の毛の間を尿が流れていたのです。
つまり、寝小便のたれ流しです。数多くの動物の中でも、病気でもない限り、寝たまま、それも、自分をぬらしても平気な動物を私は知りません。それ以来、ナマケグマを見るたび、ピッタリの名前だなと思っているのです。
(飼育課長 三宅 隆)