46号(1985年08月)11ページ
動物病院だより 8月
9月になっても今年は猛暑が続き、連日30度台を記録して、動物も飼育係もバテ気味です!皆さんは元気ですか?季節の変わり目はとかく体調をくずしやすいものです。充分注意して下さい。
こういった時期に苦労しているのが、暖房を行なう施設を担当している飼育課員です。その日の天気を見ながら『今晩、冷えるかなあ。夜だけ入れておこう。』などと判断してゆくわけです。だから人一倍天気が気になるようです。
今月の診療事項をあげてみますと、8月4日にインドゾウのダンボの右牙が折れて、歯肉が傷つき、化膿してしまいました。そこで担当の佐野一成飼育課員に『ダンボ、鼻あげて』と命令してもらい、鼻をあげている間、右牙の歯根部の消毒を行ないました。その後、膿は出なくなり、赤味も消えてきています。このように、大きな動物では、ほんとうに日ごろの馴到訓練が重要になってきます。午後1時すぎにゾウの放飼場で、2人の担当者が「ダンボ、前!」、「シャンティ、伏せ!」などと命令しているのを見たことありませんか?あの中で動物の身体検査を行なっているのですヨ。
次に、オグロワラビーのビビを御存知ですか?彼女は人工哺育で大きくなり、再び群れにもどり、その後2頭の母親となりました。当園の売店で売っている写真集の中にワラビーの赤ちゃんが袋の中で大きくなっていく様子を撮ったページがあります。それはこのビビの袋の中を撮ったものでした。人工哺育で大きくなったため、私たちが袋の中をのぞいても平気!おかげさまで、すばらしい記録がとれました。
しかし残念なことに、彼女はもうこの世にいません。8月18日、ふらつく為入院。そして9日目の27日朝死亡しました。解剖の結果、肺膿瘍でした。記録が途中になりましたので、とても残念に思います。
(八木智子)