48号(1985年11月)1ページ
貧歯目
哺乳類には、いろいろの仲間がいますが、「貧歯目」というグループを御存知ですか。貧歯目の学名Edentataは、「歯をもたないもの」の意味で、たいへん風変わりな動物たちの一群です。
この仲間にはアルマジロ、ナマケモノ、アリクイ等三科約二十六種おり、いずれもアメリカ大陸だけにいます。
アリクイは、貧歯目の名にふさわしく、まったく歯がありません。ナマケモノは、わずかながら歯があり、しかも胎児のうちからもう永久歯がはえています。アルマジロは、歯がたくさんはえていますが、歯根がなく、広く開いた歯髄腔をもち、終生のび続けるという特窒ェあります。
貧歯目のからだは、密生した毛並み、あるいは角質の背甲で保護されています。
貧歯目の体温は、気温の変化に大きな影響を受け、気温が下がると体温も下がり、動きが鈍くなったり、あるものでは冬眠するようです。
今から一万年ほど前の洪積世まで、アメリカ大陸には非常に多くの種類の貧歯類がすんでいて、その中にはゾウと同じぐらいの大きさのものもいたようですが、現在ではせいぜいオオカミくらいの大きさで、数も少なくなっているようです。
(松下 憲行)