48号(1985年12月)1ページ
動物病院だより
冬の訪れとともに、インフルエンザが流行しているようですが、皆さんはだいじょうぶですか?
当園の職員もカゼをひいている人があちらこちらに見られます。特に類人猿班では三人ともカゼをひいてしまい、マスクをかけ、ダルそうな様子で動物たちの世話をしています。そんな状態なので、獣舎の中はウィルスがウヨウヨいるわけです。
”お願いだから、うつらないでネ!!”
獣舎をのぞきながら、ゴリラやチンパンジーに頼み、いつもどおり餌を食べてあるとホッとしています。
先月号でお知らせしたナマケグマのオスは、ついに十一月十六日午後二時頃、他界しました。解剖してみると、やはり癌性腹膜炎をおこしており、腹水が5.2リットルもありました。調べていくと、胆のうが癌化して大きくなっており、さらに肝臓、肺、副腎、リンパ節に転移が認められ、さぞや苦しかったろうと思いました。
昨年の暮れに生まれた子も順調に大きくなり、繁殖のコツがわかってきた時だっただけにとても残念でなりません。残された子もメスなので、さっそくおむこさんを探しているのですが、数が少なくなっているクマだけになかなか見つかりません。どうやら繁殖計画も一時ストップということになりそうです。
さて、今年(昭和六十一年)の干支は「虎」。当園のトラのメス親のカズは、今までに三十七頭出産し、自分で二十六頭育てている日本一の子育てトラです。そこで、干支にちなんでお正月に親子でいる姿をお客様に見ていただこうと担当の川畠飼育課員が、計画出産をすすめていたのです。ところが高齢のせいでしょうか、なかなか妊娠してくれず、残念ながら、お正月には間に合わなくなってしまいました。
こちらの都合ばっかり言ってはいけませんネ!!当園に功献してくれているカズ。ゆっくり体調を整えて下さい。
(八木 智子)