48号(1985年12月)4ページ
飼育係体験記 ある日の爬虫類館
(県立城北高校 生物部 少女C)
開園前で、誰もいない爬虫類館。しかも、うす暗い。こんな時、ヒョコと人が現れると、以外にびっくりするもんです。(本当にびっくりした)
開園前、勤務時間の前からもう働きはじめている担当の後藤さん。時間どおりだったら、とても一日の仕事ができないそうだ。ひろい爬虫類館をひとりで管理しているからたいへんだ。「爬虫類館には七年」ヘビの機嫌もわかるようになったとか。(私には無表情にしかみえない)
爬虫類の大部分は、熱帯の地方に生育するため、気温や水温、湿度に気をつかわなくてはならない。だから、ヘビの展示室のうらにまわると、ムッとむしあつい。そこに調理場みたいところがあるから、立っているだけで、ボタボタと汗がおちてくる。
ヘビ、ワニなどは、肉食なので、毎日の仕事が同じでない。
※ある日のお!仕事
<午前>
○餌を切り、分ける
ゾウガメ(リンゴ・オレンジ・パイナッブル・ハクサイなど)
マウス(リンゴ・ヒマワリの種子・ペレットなど)
○ヘビの展示室の掃除(もちろん、この間ヘビは入ったまま)
○カメ、カエル、オオサンショウウオに餌をあげる。
○オオアリクイに薬を飲ませる。
オオアリクイの好物のマウスの腹を開き、正露丸、その他の薬をつめ、アリ クイに飲ませる。
<午後>
○肉のかたまりをあつかいやすさに切る。(スジをよけて切るので、手間がかか る)
○切った肉の半分(バケツ一杯)をミンチにする。(スジがあると、すぐにつまるの で、これまた手間がかかる)
○オオアリクイの餌をつくる。
粉ミルク・粉末カルシウム・肉(ミンチ)・ドックフード・生卵etcをミキサーに かけてドロドロにする。すると、フレンチドレッシングみたいな色になります 。これをボールに入れ、オオアリクイにもっていくと、夢中になって食べる んです。
○ワニに切ってきた残りの肉をあげる。(後藤さんが直接口に投げ込むか、寝て いる近くに投げる)
○カメ、カエルの水そうの掃除(冬だと水温にも気を使う。ワニなどの水をかえる 時、2時間もかかってしまう)
<閉館>
○ヘビに餌!!をあげる。もちろん生き餌。無造作にヘビの展示室にマウスをポ イポイ…。
あとは水曜スペシャルの世界。私なんか、抵抗なく見入っていたけど、普通の 女性だったら、見ていられないのではないだろうか、と思った。
以上、おおまかに、しかも主なことだけを書きだしたけれど、本当はもっと細かい仕事がたくさんあるのです。餌になるマウスやコオロギなどの世話もしなければなりません。
それに、ただこれだけをやるなら、他の人にだってできます。毎日、動物達の健康状態をみて、愛情を持って接しなければだめです。今回、そこははっきりとわかりました。(オオアリクイは私をみると、毛を逆立てるんだー)
◇それと!
☆ワニにコインや石を投げつけるのは、やめよう。(あたればイタイ)
☆中の動物が動かないからといって、ガラスをドンドンたたくのもやめましょう。
(特に親子づれの父さんが多いみたい)
※飼育体験終えて
頭の中で考えていたより、たいへんだなぁーと思いました。ヘビは餌がいらない、と考えていたわけではないけれど、マウスやコオロギを自分で飼育しているところまでは考えていなかったし、気温や湿度までは聞くまで忘れていました。
最後に、飼育係の後藤さん、一日おじゃましてすみませんでした。今度、また遊びに行きますが、サクの外にいることにします。(終わり)