49号(1986年01月)9ページ
動物病院だより
一年もあっという間に終わり、昭和六十一年がスタートしました。昨年は出産した動物は32種81点ありました。
主のものをあげてみますと、二月十八日マサイキリン(徳子)の三回目の出産がありました。今度こそ徳子自身で育ててほしいと願っていたのですが、残念ながらまたしても育児放棄。担当の佐野一成飼育課員がめんどうをみることになりました。そのおかげ?でキリンの人工哺育の技術は国内にとどまらず、外国にまで知られるようになり、韓国の動物園から問いあわせの国際電話がかかってきたのにはびっくりしました。
四月に入り、当園で初めてダチョウの卵を見ることができました。というのは、今までの卵は鶏卵大の軟卵だったのです。
続いて五月八日にはエリマキキツネザルが三頭生まれ、内二頭は順調に育って今では親と変わらぬ大きさになっています。また四月二十九日と、十一月三十日にアカテタマリン、六月十七日にはムネアカタマリンが誕生しています。
五月六日頃より夜行性動物館では、フルーツコウモリの出産が確認されています。小さいうちは、子を胸に抱いたまま飛んでいますが、少し大きくなってくると子を置いて、採食にでかけている様子が観察されています。熱帯鳥類館では、六月七日にキンバトが、ハ虫類館ではフロリダキングヘビが五月十七日より孵化し始め、計18頭誕生しました。
八月に入り、ダイアナモンキーが出産しています。この母親は昭和五十五年に当園で生まれていますので、これで三世誕生ということになります。
九月十四日にはオオガラゴが出産しました。前回はオスがいっしょにいる中で出産をむかえ、子が食殺されてしまったいきさつがあった為、今回オスをわけたところうまく育つことができました。二十八日には、ヒョウが二頭生まれたのですが、一頭は死産、残り一頭も血尿やら斜頚が見られ、ダメかと思いましたが、人工哺育で大きくなっています。
十月十一日、待ちに待ったチンパンジーの出産がありました。しかし臍帯狭窄(へその緒が途中で結ばれている)というアクシデントがあり、失敗に終わりました。
このような出産だけが、できごとであればいいのですが、必ず死ぬものもでてきてしまいます。まず、下の池で一月九日にモモイロペリカン、五月十二日にはコクチョウがなにものかにより食殺されてしまいました。足跡からタヌキのようですが、今だに犯人はわかっていません。
七月二日熱帯鳥類館で昭和四十七年六月より飼育してきたベニグクラクチョウが肝炎で死亡しています。
八月には、アキシスジカの若オスがなにかにおどろき、フェンスにぶつかって第三頚椎骨折で六日の朝、死亡してしまいました。
二十七日にはオグロワラビーのビビが肺膿瘍で死亡しています。ビビは人工哺育で大きくなった為、袋の中を自由にのぞかせてくれ、袋の中で子が大きくなっていく様子を観察するとができました。
そして十一月十六日、ナマケグマのオスが癌性腹膜炎で死亡しています。
十二月に入り、ハイイロキツネザルのオスが死亡し、日本で当園にしかいないこの珍しいサルも、とうとうメス二頭になってしまいました。このようにして死亡したものは、78種98点に達しています。
さて、今年はどんな年になるでしょうか?できるだけおめでたいニュースでうめつくすように皆んなで、かんばっていきたいと思っています。
(八木 智子)