51号(1986年05月)19ページ
動物の食べ物第四回◎ノガン(ツル目・ノガン科)
いきなり名前を聞くと、とうしてもツルの仲間だとは思えません。が、れっきとしたツルの仲間です。当園にいるのは、中華人民共和国から頂いたものですが、世界には他にも様々なノガンがいます。
さて、その食べ物。頂いた時は担当者はまっ青、といったところでした。驚くくらいていねいに作った餌が与えられていたのですから。まあ、さっぱりとした和食とこってりとした中華料理の違いを想像して頂ければよいでしょうか。
小麦、青米、トウモロコシ、コウリャン、麻の実、青菜を粉にし、それに生肉を入れて粘り、更にダンゴ状にしてから蒸し、それから細かく切って食べ易いようにして与えたのですから恐れ入ります。担当者も“ギョッ”とした訳です。
日本平動物園流にするのには、かなりの時間を要したようですが、そこまでをつないでくれたのは、やはり何といっても自然の餌。コオロギ、バッタ、セミをつかまえにいっては、せっせと与えていたものでした。それでも足りない時には、飼育用の昆虫、ミルウォームを与えていました。虫を好む動物がいるところでは、たいてい飼養されているのですが、ここでも大きく貢献しました。
その上に繁殖でもしていれば、育雛時の餌の話でもできるのですが、そっちのほうの話題は丸っきしありません。ディスプレイする相手が雌ではなく、飼育係だというのですからあんぐりしてしまいます。どうも人馴れさせ過ぎてしまったのが、よくなかったのでしょうか。