51号(1986年05月)23ページ
レンズから見た動物達「パルマワラビーを追う」
「おっ、今がチャンス」と心の中でつぶやき、すかさずピントを合わせ、一枚、二枚、さあどしどしと思う間もなく、袋の中に顔をスッと引っ込めてしまって・・・
パルマワラビーの赤ん坊の写真を撮る時は、こんなことの繰り返しでした。母親は両眼共に白内障にかかってほとんど見えない状態だけに、「クァクァクァ」と警戒信号を発することが多く、それが袋の中の子をより臆病にさせているようでした。
袋からちょこんと顔を出す愛らしい仕草を撮ろう、たったそれだけのことに思いも寄らぬ苦労を強いられるとは―。
ある程度続けて記録しようとしたプランもパアー。結局、わずかに十数枚撮れただけに止まりました。
でも、ほぼ一年半ぶりだけでなく半ば以上諦めていた繁殖です。無事に育ってくれたことを“よし”とすべきでしょう。
(松下憲行)