52号(1986年07月)15ページ
動物園こぼればなし◎動物の珍名あれこれ
園内をのんびりと巡るお客様、いつも楽しそうな会話が、聞くともなしに耳に入ってきます。その中には、?と首をかしげたくなる会話も。何とも聞きなれない動物の名が、耳に入ってくることがあるのです。
ネームプレートに書いてあるニシクロシロコロブスの名がうまく読めなくて、最後の“ブス”だけを強調するのは日常のこと。驚いたのは、シロガー・オマキザル。最初は何のことかと思いましたが、よく聞けば何のことはない、シロガオ・オマキザルの名を上手く区切れずにそう読んでいたのです。
白顔尾巻猿と漢字で書いてあれば、読み間違えることもなかったのでしょうが、動物名はひらがなかカタカナで書くのが常識になっています。それに、必ずしも漢字で表現できる訳ではありません。
かつて旧夜行性動物館においても、スロー・ロリス(原猿類で、直訳すればなまけざるの意)をスローロ・リスと読んで、“リス”と誤解される方がずいぶんおられました。思いもよらない区切りかたをされ、遂には種類まで変えられてしまっていたのです。
誤解して読むほうが悪いのか、それとも読ませるほうが悪いのでしょうか。珍名の動物を作らないために、ネームプレートにもうひと工夫が必要としても、そんなに面白い(?)読み方があるのなら、舌を噛みそうな動物名の前で一度お客様の会話をじっくり聞いてみたいものです。
(飼育課員 池ヶ谷正志)