53号(1986年09月)2ページ
レンズから見た動物達「フルーツコウモリを撮った時のお話」
「何これ」「何だろう」と覗き込む人、耳を当てる人、引っ張る人等、様々な反応。その度に「あっ、それ違います。触らないで」これは以前、夜行性博物館でフルーツコウモリを撮影していた時の出来事です。
前々から一度飛んでいるコウモリの写真を撮りたいと思い、何度か挑戦していたのですが、正面からストロボを発光させると“影”がモロに出てしまって、だめ!!中に入ればなんとかなると思い、担当者に頼み込んで中に入れば、コウモリは恐がって天井の隅に固まって飛ぶどころではなくなってしまい、これまただめ!!
やはり外からガラス越しにカメラを構えない限り、コウモリは飛んでくれません。そこでいろいろと考えた末、カメラとストロボを離して撮ることにしました。
ストロボはガラスに吸盤で固定し、カメラは二〜三m離れた所で構え、飛んで来るコウモリを待ちました。そうすると、最初に述べた光景になった訳です。
お客様は私の後ろを通るので、写真を撮っているのには気付かず、ガラスに張り付いてる黒い箱を見て「何これ!?」「それで見ると大きく見えるんじゃないの!?」と覗き込む人、「きっと説明機よ!?」と耳をあてる人、挙句の果ては引っ張って取ろうとする人等々。
いやはや、シャッターを切るより、お客様に説明するほうが忙しかったコウモリの撮影でした。
(鈴木和明)