53号(1986年09月)3ページ
レンズから見た動物達「写真班大忙し」
今年は、例年になくベビーラッシュが続きました。主な動物だけをあげても、ヒトコブラクダ、マレーバク、タンチョウ、ヒョウ、カリフォルニアアシカなどがいます。そこで最も忙しくなるのが私達が担当している写真班です。
今日、あちらの獣舎で出産があったと聞けば、すぐにいって子の写真を撮っておかなければなりません。それだけならいいのですが、成長過程を記録しておかねばならない場合もあり、これが大変なのです。
毎日のようにいろんな動物を写しているので、こんがらがってしまい、何日目に写したものだか分からなくなってしまうことがあります。撮った写真にはすぐに日付けを書き、カレンダーには撮影予定日を書き込んでおくようにして、最近ようやくはかどるようになりました。
もっとも、これらはうれしい悲鳴です。目の前で大きくなってゆく様を見るのは楽しいものです。が、写真班のもうひとつの仕事、解剖の写真を撮らねばならない仕事が続くと、いささかうんざりさせられます。
開園以来の動物であったニホンツキノワグマのアキ、日本には二頭しかいないといわれていたハイイロキツネザル、等々。動かないから撮り易いものの、哀しさと内臓の気味の悪さが入り混じって、変な心境になります。
でも、これも写真班の大事な仕事。生と死は表裏一体と割切って励んでいます。
(佐野一成)