54号(1986年11月)15ページ
動物園こぼればなし ◎腕白小僧にも礼儀あり?
ラクダの子ジョージは生まれて早4ヶ月になろうとしています。
腕白小僧丸出しで、体も頑固で、出産時体重が34kg、頭頂高132cmの子も、現在の体重は約90kg以上、頭頂高も167cmに成長しました。
出産当時の皮膚病や便秘も、獣医の努力で完治しました。
最近では、いたずらが激しく、母親が座ると、背中にのりかかり、体毛をむしりとったり、蹴ったりとそれは大変ないたずら坊主です。
このような毎日では母親もたまりません。時にはおこって、子に噛みつくと、グエグエと大声でなきながら私の所にかけ寄ってきます。
その憂さ晴しをクジャクにむけます。と云うのは、餌を求めて、放飼場に集るクジャク、餌を採食するクジャクを追い回したり、追いつめたり。
こんなわるふざけなジョージにも、礼儀正しい面もみられます。
お客さんが、扉越しに、ジョージと呼ぶと急いで、かけ寄り、子供さんの手をなめたり服をかんだりの動作に「まあ可愛いい」!
帰り際のお客さんが、ジョージ君バイバイと云うと偶然にも、その場に座り首を前に伸ばし、いかにも、御辞儀をしているように見えました。
これは疲れた時に休む動作なのですが、お客さんからみると賢いラクダの赤ちゃんなのです。
そこで一言、「しっかりしないと、ラクダさんに負けてしまうよ。」と言い聞かせています。
子供さん達は判ったような、判らないような感じで、ジョージをみていますが、そのタイミングの良さに、私としては、唯、笑ったり、驚いたりしている、日差しの強い一日の出来事でした。
(飼育課員 秋元 錠一)