54号(1986年11月)2ページ
レンズから見た動物達【起きろ猛獣】
「コラーッ、起きろ」「やだあ、ナニあの格好。あれでもライオンなのお。」日曜日のお昼頃になると、決まって聞こえてくる猛獣舎前でのお客様の会話です。そんな前を通れば、「いつ来ても寝てるじゃん」「一度ぐらい起きているこ所を見たいわあ」と小言をいわれそうな気さえします。
ライオンやトラが起きて動いているのを見たいのなら、朝かお腹を空かせ、入舎を持っている時が一番の機会です。最もそれは猛獣に限ったことではありませんが―。
写真を撮るのもこの時間が最高なのですが、悲しいかな私達の仕事も一番忙しい時で、とてもカメラを構える余裕はありません。どうしても昼頃が主体になってしまいます。
日曜日などのお客様の多い時は避けて、平日のお昼頃に猛獣舎の前で、「コラーッ、起きろ」「オイ、こっちを向け」などと、大きな声を出しているのは…カメラを持ったこの私です。
(鈴木和明)