55号(1987年01月)6ページ
動物の食べ物 第五回【グラントシマウマ】
ウマは何故“ウマヅラ”なのか、そんなことを考えたことがありませんか。草をはむ為に臼歯が発達した結果、いわゆるウマヅラ、面長になったというのが一般的な見方です。
もっとも、シマウマはウマよりもロバに近く、それを納得させてくれるのに鳴き声があります。「ファファン、ファファン」とちょっと犬に似た鳴き方は、ロバをはっきりと思い起こさせます。
では、ロバと同じように粗食に耐え得るのでしょうか。案外そうかもしれません。奇蹄獣でウマとは遠縁になるサイやバクはどんどん隅に追いやられているのに、サバンナシマウマ(グラントシマウマはその内の一亜種)の仲間は今なお対抗し続けているのですから。
飼育下において、毎日与えられているのは、甘藷、人参をカッターでスライスしたものに草食獣用ペレット(草を粘り、他の少々栄養物を混ぜ粘り固めたもの)を入れ混ぜ、少々の塩とカルシウムを加えたものです。これに当然、乾草がプラスされます。
これとて、ダチョウの時に述べたように、毎日すんなり食べてくれていれば、何の心配もありません。いくら育ち盛りで喰い盛りの個体でも、そうそう気楽にはさせてくれないものです。それに、場合によっては好きに食べさせる訳にもいかない時もあります。
昨年の秋のことでしたか、検便をすると、円虫という寄生虫が出たそうです。さあ、そこで駆虫せねばならなくなったのですが、果たしてうまくゆくものかどうか―。
ウマの嗜好性のある薬をエサの中に、それもしっかり食べてくれるようにと、かなり少なめにして与えられたのですが、なかなか食べなかっただけでなく、薬である「コナ」はずいぶん残したそうです。そんな時の担当者や獣医の顔、何とも苦り切った表情をしています。
再度、ヒト用の駆虫剤を用いた時には以前よりは食べたとのことで、獣医のほうはまだまだやる気のようです。が、嗅覚が敏感な彼らを何処までだまし?きれるでしょうか。ともあれ、担当者にしたところで、自分の体でなくとも早く駆虫してすっきりしたいところでしょう。