58号(1987年07月)1ページ
レンズから見た動物達【チリーフラミンゴのふ化】
七月二十二日の夕方、育すう舎の担当者からフラミンゴがふ化するとの朗報。さあ記録と早速伺うと、ふ卵器の中からグロログロロと気味の悪い鳴き声が聞こえてきます。
フラミンゴの卵の中から発せられているのです。映画に出てくる怪獣の鳴き声にそっくりで、かわいい姿などとても想像できたものではありません。
前日からはし打ちが始まっていたそうですが、ヒナはなかなか殻を割って出てきません。担当者が少し手助けをして、ようやくのこと姿を現しました。
卵から出るのに疲れたのか、少し元気がないようでしたが、丸くなっていたのが次第に少しずつ伸びてきました。体はまだぬれており、腹部には血がついていて、親の姿には程遠くグロテスクな感じさえ受けました。
しかし、一日経った次の日は、真白な綿毛におおわれたかわいいヒナに変身していました。一日でこんなにも違うものかと驚きましたが、鳴き声だけは相変わらずで、お世辞にもかわいいとはいえませんでした。
その鳴き声もよく聞いていると、だんだん高くなり、さほど耳障りではなくなってきました。変化するのは鳴き声だけではありません。体の色も灰色からうすいピンクに、くちばしもまっすぐから徐々にくの字に変化してゆきます。そんな成長過程をしっかりと、カメラに収めたいと思っています。
(佐野一成)