59号(1987年09月)2ページ
レンズから見た動物達「ボアの親子」
動物写真の被写体になるのは、なんといっても親子が一番。子供の愛くるしい表情、母親のやさしさが溢れる仕草など、どんな角度で撮っても絵になります。撮る方もファインダーを覗いていると、ついつい顔がほころんできます。
しかし、以前撮った親子は最後までどうしても笑顔になれませんでした。しかも、どうやって撮っても絵にはならず困ったことがあります。それは爬虫類館のボアの親子です。
担当者から繁殖の知らせを受け、それではと出かけてみると、いるわいるわ全部で13匹もいるとのこと。母親のお腹の付近にぐにゃぐにゃと入り混じり、どれがどこがアタマでシッポやらさっぱり分かりません。
見れば見るほど気持ちのいいものではなく、早く撮り終えたいと思ったのですが、どう角度を変えてもシャッターをどこで切ろうかと迷うばかりでした。ファインダーを覗いている自分でさえ、何が何だか分からなくなってしまったのです。
仕方なく「エーイままよ」と写したのがグラフニュースに載りましたが、写真だけを見た人はさっぱり分からなかったのでは・・・?
(鈴木和明)