でっきぶらし(News Paper)

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動物の食べ物 第8回 夜行性動物館その1 ハクビシン

 食性の広さといえば、こちらは更に最たるものです。食肉獣の中でもネコ類やイタチ類は、ほぼ完全な動物食なのですが、ジャコウネコの仲間は果実類までグッと幅を広げます。
 ミカンに“白い花”を咲かせる動物がいるなんてこと、聞いたことがありませんか。ハクビシンのことで、農家の大の嫌われ者です。「白い花?」「ミカンの花は白だっけ?」いえいえ、本物の花ではありません。秋の収穫期になると、ミカン畑に出没、中身だけを平らげたミカンの実を遠くから見ると「白い花」が咲いているように見えるのです。 嫌われる訳です。丹精込めて作り上げた農家の側からすれば、やりきれないなんてものではないでしょう。郊外に住んでおられる方と話していると、「最近夜になると柿の木の回りをうろちょろする変な動物がいると思ったら、ハクビシンだっけや。」と、そんな話題に接することもあります。
 野生ではそんな果実類の他に、ザリガニやカエル、トカゲ等を捕食しているようです。この他にも、何かの折に目にする小動物や小鳥を捕食していると考えても何ら不思議はないでしょう。
 ところで、ハクビシンって本当に日本の国の動物?そんな疑問を抱かれたことはありませんか。私たちは長年彼らと付き合って、どうしてもその疑問を武@しきれないのです。外国から来た、すなわち帰化した動物ではないかと。 例えば、キツネやタヌキの赤ん坊もちょくちょく保護されるのですが、決して秋ということはありません。ところが、ハクビシンの赤ん坊の保護はとなると、一定時期がないのです。一昨年でしょうか、獣医の方からその保護状況のまとめの報告があったのですが、赤ん坊に限定せずに多少成長した子も含めた場合となると、季節感は全くなく、数の差はあれ、どの月にもある状況でした。実際、秋にもハクビシンの赤ん坊の保護はけっこうあるものです。
 白鼻芯と書くこのジャコウネコの仲間、もし外来の獣とするなら、ここまで生息地域を広げた素因は、何でも好き嫌いなく貪欲に喰らう食性の広さ、たくましさにあるといっても過言ではないでしょう。
(松下憲行)

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