64号(1988年07月)6ページ
ベビージャック・ピグミーマーモセット
★ピグミーマーモセット
百gを少し上回る程度の体の何処からすさまじい悲鳴が出るのであろう。今年の四月に文字通りピグミーマーモセットから赤ちゃんを奪う時、母親のあらん限りの力を振り絞って悲鳴を上げるのを聞いてつくづくそう思いました。
しっかり面倒を見ている親から子を取り上げるのは、どんな理由があるにせよ罪の意識にかられます。乳がでない、単純で最も根本的な理由からですが、母親や父親の慈しみがはっきりかつしっかり感じられるだけに、やるせなさが残ります。
この「でっきぶらし」がそれぞれの方の手元に届いている時、私は多分四度目の人工哺育にチャレンジしているでしょう。半分の自信と半分の不安ともうひとつすっきり割り切れない気持ちを抱きながら…。
お腹は随分大きくなっています。見事なミニ大鼓腹で、重そうに引きずっているようでもあります。でも、直後に間違いなく待っている悲劇。ピグミーマーモセットが赤ん坊を生み続ける限り、私は”赤ちゃん乗っ取り屋”であり続けるでしょう。
(松下 憲行)