66号(1988年11月)2ページ
モンキー、この騒々しい住人達(?U)・電球を喰ったマントヒヒ
前回、こんなサルが飼われていてこんな思い出が、という風に一番強く記憶に残っているものをコメントしてゆきました。それにしても、更に強く甦ってくる記憶。サルは騒々しくかつ楽しい”生き物”です。
一晩でも二晩でも語りたい彼らの珍騒動。あまりにも人間臭い故に時にはうとましくさえあります。いえ、だからこそ楽しくもあるのです。
社会性の強さ、豊富な表情、悪戯大好き。だいたいサルを理解するのに理屈なんて要りはしません。私達もまた「サル」なのですから…。
★電球を喰ったマントヒヒ
まだ開園前、二十年も近く前のことですが、肝をつぶしたというか、おったまげたというか、あまりの行為に声も出ませんでした。
さあマントヒヒがやって来たと部屋にいれた余端、何をしでかすかと思いきや、オスはいきなりにゅうっと電球に手を出してバリン。そしてゴリゴリ、ガリガリ。
そう電球を食べ始めたのです。それも実にうまそうにです。変なプロレスラーがいて、皿まで喰っちまう話を聞いたことはありましたが、これは正にそのモンキー版でした。
怪我をしなかったかって!?はい、私も実にそれを心配しました。手を切らなかったか、口を切らなかったか。はたまた胃袋に入ってしまった電球で体がどうにかならないかと。
ですが、翌日彼らを放飼場に出して寝室内を掃除するも、一点の血痕がある訳でもなく、彼自身もピンシャン、威風堂々としていました。改めて「何てえサルだ!!」
電球は、裸であった訳ではありません。鉄格子でしっかり覆われていました。が、手が届けば何をしでかすか分からないのがサル。その典型的な事件だった、といえるでしょう。