66号(1988年11月)3ページ
モンキー、この騒々しい住人達(?U)・ひ弱だったオマキザル
★ひ弱だったオマキザル
当初、一般公開された六種の内で一番小型だったのがシロガオオマキザルです。特にメスは、まだ若いというか未熟さを感じさせた個体でした。今ぐらいの知識と扱い方の心得があればどうってことはなかったのでしょうが、飼育する側も又、未熟で不心得が多過ぎる若造(私のこと)でした。
で、結果として招いた毛づやの悪さ、行動の鈍さ。日誌にも「寒さで弱っているようなので一時分ける」の項目が残っています。
今にして思えば、明らかに動物性たん白質の不足です。南米産のサルは気をつけろ、たん白質の比重を高めるのを忘れるな、の一頃が頭にインプットされていればどうってことはなかったでしょうが…。
挙句に招いたのは、流産、死産、無事に生まれても母乳が出なかったことさえありました。口惜しい、今でも口惜しさは忘れません。己の未熟さが、そこかしこに表れている飼育でした。
余談ですが、実は恐怖の巨大蜘蛛を味わったのもこの時です。シロガオオマキザルのメスが弱ってしまって取り上げる時のことです。社会性の強さは連帯感の強さです。種類が違っても同居していれば想像以上に強くかばおうとします。
そう、どういう理由であれつかまえようとするのにジェフロイクモザルのメスは怒り、すさまじい怒りの形相で立ち向かってきたのです。それは、正にゾーッとする程の巨大蜘蛛!!怪我をしなかったのは幸いというべきでしょう。