66号(1988年11月)4ページ
モンキー、この騒々しい住人達(?U)・トラブルメーカー
★トラブルメーカー
サルの手は悪戯をする手だ、とマントヒヒのところで述べましたが、物を握れる、つかめるというのは、時には実に厄介です。
隣舎のサルとウォーウォー、ギャオーギャオーやるのは日常茶飯事。誰も驚きはしません。問題が生じ驚かせるのは、その握れるつかめる手です。
当時、放飼場と放飼場の間にある程度の隙間がありました。せいぜい三〜四センチだったと思いますが、彼らが手を出したり入れたりするのにはそれで充分でした。
つまらぬこと、はっきりしない理由で喧嘩をおっぱじめては、その隙間から手を出しっこ。しかもその大半は、オマキ・クモザル対ダイアナモンキーに集中しました。
まずはジェフロイクモザルのオスが右手中指に裂傷を負ってあえなく入院。オーバーにいうなら、これが全面戦争の序章、幕開けでした。
互いが互いの手を引っ張り込もうと幾度やり合ったことか。時にはダイアナモンキーのオスが尻尾を引っ張り込まれてギャオギャオ。これには少々慌てました。
哀れなのは、ダイアナの子がまだ幼児の頃に手をつかまれ、指を何本か咬み切られてしまったことです。やったのはオマキかクモザルか、どちらにしろ本当に憎らしくなりました。
こんなトラブルが重なってとうとう三〜四センチの隙間は塞がれ、かつ手が届きそうなところのオリの隙間はことごとく狭められました。
サルであるが故にこんなトラブルが生じたのですが、今にして思えば元汲ヘどうもオマキザル。後々クモザル相手に起こしたクーデター、新居に移っての新たなトラブル。ひとクセある妙な利口さ、それに加わる気性の激しさ、要因の大半を占めていました。