66号(1988年11月)5ページ
モンキー、この騒々しい住人達(?U)・夫婦喧嘩は果てしなく
★夫婦喧嘩は果てしなく
東南アジア一帯に生育するマカク類の仲間であるニホンザルも又、利口で気性の激しいサルです。しかし、先立って老衰で逝ったメスは格別だったような気がします。
彼女がやって来たのは、開園して一年余り後の十一月。以来、オスとうんざりする程トラブルを起こしました。
初端の大怪我は、右尻ダコの上を咬まれて二針縫合されたことから、これをやらかしたのは屋久島産のオス。一年半後に本土産と入れ替えられました。
トラブルの原因が主にオスにあったのならこれで解決だった筈です。そう、私も切にそれを期待しました。
しかしまあ、何とはかない期待であったことでしょう。ちょこちょこ「ガッガッ、グアッグアッ」とやり合うのは可愛いもので、時には激しく左手を咬まれたり、背中を咬まれたりして入院騒ぎを起こしています。担当を離れてからも一度大怪我をさせられています。
都合、オスが一九七八年九月に病死する八年余りの間に大きなトラブルが三回。時には子が巻き添えをくって大怪我することさえありました。
オスが悪かったのか、メスが悪かったのか、彼らの言い分を聞いた訳ではないので、私には分かりません、が、担当を離れたからこそ見れた、夕方入舎直後のある日の食事の光景。不遠慮なメスの態度にオスが怒って食べるのも忘れて大喧嘩。
「あっ、あれじゃあ病院送りにさせられるのも当たり前だ」と素直にそう思いました。事の数?がどうであれ、メスが劣位の者としての態度を取らぬ限り、トラブルは防ぎようもありません。
それでも、三頭の子をなしました。実に分からぬ男女の仲、とでも申しておきましょうか。