でっきぶらし(News Paper)

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動物病院だより

 むし暑い毎日が続いていますが、お元気でいらっしゃいますか。
 今年八月一日開園20周年を迎えました。人でいえば成人式というところでしょうか。10周年の時はローランドゴリラが仲間入りし、ゴロンもトトもこの十年でりっぱなゴリラに成長しています。特にメスのトトは来園時の体重が、たったの四kgでした。がりがりにやせていたトトを、日本平のサービスエリアで受けとった時は、大きくなるのか心配でした。そのトトも今では百kgちかい体重にまで成長し、今後はただ一つ、二世誕生を願う今日この頃です。
 さて、20周年では、シロサイが仲間入りしました。オスは四才、メスは八才とまだ若いペアです。名前の方は、皆さんからいろいろの名前を考えていただき、オスは「サイ太郎」、メスは「サイ子」に決まりました。
 また20周年の記念行事の一つとして写真展が計画されており、その準備が着々と進められています。病院の二階に暗室があるのですが、そこでこのところ写真現像が盛んに行なわれています。この暗室が、冬寒く、夏暑い、まさに季節を充分に味わせてくれる所ですから、今は汗だく、サウナそのものなのです。そんな中で、佐野一成、池ヶ谷飼育課員らががんばっているのです。
 二十年間の歴史の一コマ、一コマが、写しだされてきます。動物達の成長を感じつつ、我々飼育課員の変化もその中にあらわれてきています。「いや、若いネェ。これだれ?」いやはや年は、確実にとっていくものだと新ためて痛感いたしました。
 行事の方は他にも記念誌、写真集の発行等が予定されていますので、お楽しみにお待ち下さい。
 それでは、この二ヶ月間の診療の中で二つあげてみましょう。一つは、コモンマーモセットの出産についてです。当園では今のメスが二回出産しているのですが、今までいずれも人工哺育に切かえてきていました。その理由にオスが、父親の役割をしてくれないことにありました。(この仲間は、授乳以外、オスやその前に生まれた子が、子供を背負い、面倒をみるのですが、今までのオスは、子がおんぶするといやがって、こすり、子が落下してしまっていたのです。)
 そこで、出産予定の二週間ほど前にオスを入れ替え、様子をみたのです。そして六月十五日無事二頭出産しました。最初、オスは無関心のようでしたが、十日ほどして一頭背負っているのが観察され、その後二頭ともオスのところに行っているのも見られ、作戦は大成功。無事親元で大きくなっています。
 二つ目は、インドゾウのダンボが、六月二十二日より突然餌を食べなくなってしまったのです。今まで病気らしい病気はせずにきたので、考えこんでしまいました。
ダンボは、室内の鉄棒によりかかったり、横になったかと思えば、立ちあがることを繰りかえすのです。疝痛症状をおこしているので、その対症療法として、整腸剤や強肝剤、ビタミン剤を注射することにしました。担当の佐野一成、鈴木飼育課員が、「伏せ、伏せ」と命令すると、いやいやながらも伏せてくれ、投薬を行ないました。
 一日、二日、三日と時間はたっています。水もまったく飲まなかったのが、少しずつ飲むようになった。横にならなくなった。サツマイモも少し食べてくれた…ようやく六日目にして食物を口にしてくれました。原因としてあげてみると、青草が急に変わって、胃内の微生物にショックを与えたからだろうと考えます。
(八木智子)

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