72号(1989年11月)4ページ
一九八九年の話題を追って【ハイエナの展示】
過去二十年間、日本平動物園で猛獣といえば、ネコ科とクマ科が中心でした。イヌ科といえば国産のタヌキとキツネがせいぜいで…。
シンリンオオカミの初お目見えが、一昨年の一月。次いで昨年四月にブチハイエナがやってきました。
ハイエナ。そばで見ると意外に可愛い顔をしています。目がパッチリ、前足と後足のアンバランスがまた何とも愛嬌があります。
そう、ハイエナのようにいやらしい奴なんていいますが、とんでもない誤解です。可愛いか可愛くないかはともかく、少なくとも人の物を横取りするようないやらしい奴ではありません。
隣にいるライオンのほうが余程いやらしい。自分で狩りをすればいいものを横暴にも、ハイエナが苦心して獲った動物を横取りしてしまうのですから―。
それをうらめし気に見ているハイエナを、死肉を漁るいやらしい奴と誤解しているのです。でも、この種の説明は動物園のプレートにもちょいちょい見られます。
日本平動物園においても、展示されるようになって一年近く経ちます。そろそろ、このような誤解は解いてあげてもよい頃でしょう。