76号(1990年07月)6ページ
動物園こぼればなし 〜 くるまとスズメ 〜
愛鳥週間(5月10日〜16日)をはさんでの出来事です。
職員が誰も気づかない間に、動物園の公用自動車の後部にスズメが巣を作り、ヒナが孵ったのか小さな鳴き声が車の中から聞こえてくるではありませんか。
御存知のとおり動物園の周辺は山々に囲まれ自然がいっぱい残っています。それなのにわざわざ排気ガスやドロなどで汚れたマフラーの上でヒナを育てようとしているのです。
気づかれないように観察していますと、時々車の中に出入りしているようです。スズメはふ化して10日〜14日程度で巣立つそうですが、その間、車を使わないわけにもいきません。運転中は乗っている子スズメに気をつかい、普通の時よりスピードを押さえ、揺れが少ないように道路も選び、用事が終ったら、寄り道もしないで親スズメの待ちわびる動物園にまっすぐ帰るといった日々が続きました。
愛鳥週間も終り、スズメの子どもたちもいつの間にか巣立っていったようです。
日頃、動物に接する機会の多い私達ですが、改めて生物の生命力の強さ、与えられた環境に適応する能力、親子の深いつながりといったものを考えさせられる良い機会になりました。
(管理課 長坂好洋)