76号(1990年07月)5ページ
動物園友の会ボランティアコーナー
前号よりつづく
?Bボランティアーズが行う動物園行事は、次のことを考慮してすすめることで効果が
あると思われる。
aテーマにそった情報を最大限に提供するようつとめる。
b内容に意外性を出すようこころがける。
c参加する、触れ合う等を感じてもらうようにする。
d何かをおみやげに持ってかえってもらうようにする。
(3)動物園入園者の動向
日本平動物園における入園者は、次の点にあると想定してボランティア活動の内容を検討具体化させている。
?@昭和五十年までは、子供の割合が二十二%から二十八%(平均二十三%)となっていたが、昭和五十年以降は二十%に下がっている。
?A団体入園者が減少傾向を示し、個人ないしは家族入園者が多くなってきている。
?B学校生活が多忙なためか、小中学生の生き物への関心程度が、動物園にまで結びつかず、特に男子において低下している。一方、入園者は固定してきており、同じ人が何度も訪れる傾向がある。
これらのことをふまえて、動物園ボランティア活動の位置付けを行った。
(4)動物園ボランティア活動
日本平動物園におけるボランティア活動は、次の点からその規模等が決められてきている。
?@年間有料入園者数五十万人、日平均千五百人、日曜祭日五千人の規模を前提として、ボランティア活動の対象規模を千人程度と設定する。
?Aボランティアーズは、常に少数で異動もあることから、人員規模は、大人十人とその家族(子供は大切な戦力となる。)と設定する。
?B年間活動月は、春、秋の四ヶ月とし、日数として二十日程度とする。その他の活動を合わせると三十日程度とする。
?C活動内容は、動物園全体をカバーすることは無理なので、テーマを決めて重点的に実施する。これが園の発案による「ZOOフレンドデー」であり、年間ニ、三回イベントとして開催する。
?Dボランティアーズの上部組織である日本平動物園友の会では、毎月一回園の協力を得て動物園スクールを開催する。
(5)動物園ボランティア活動の性格
日本平動物園においては、動物園友の会の発足十五年、ボランティア活動五年の経過があるが、ボランティア活動の内容を受けて、次のような性格に落ち着いて来ている。
?@動物園には、動物教育普及活動、野生生物保護等の事業がある。これらの事業の一環としてボランティア活動を位置付けるが、動物園の事業方針、運営姿勢を逸脱しないことが前提となる。
?A動物園の持つ博物館的機能、生物教育的機能とボランティア活動の持つ動物愛好会的性格、あるいはイベント実施共同体的性格との間に姿勢の違いがある。この両者の意識を合わせ、共同で計画から作業まで実施する等合意形成を十分こころがける。ボランティア活動は、つまり動物園の補完的機能を発起することである。
?Bボランティアーズを長期に継続させる為には、活動の制約をこえない範囲で、新しい企画、アイデア、行事を創作運営し、入園者と共に楽しむことが大切となる。そのために、多彩なメニューを取り入れたイベントを組むことが有効である。ボランティア活動は、楽しむという基本姿勢を尊重し保証することである。
4 総合討論提案
課題発表を受けて行った総合討論では、ボランティア活動がテーマのひつとなったため、ボランティアーズと動物園との関係について、次の提案をした。
?@動物園といえどもサービス業であるという一面があることはさけられない。これを支えるのは、民間人特に女性の感覚であり、ふれあい感覚の活用がボランティア活動の出番をつくる。
?A余暇拡大による価値観の変化と選択機会の多様化等から、入園者の横ばいか減少の傾向を予測しておき、多彩なイベントを組む体制を整える時代が来ると予想して、ボランティアーズとその活動を育成することである。
?B動物園とボランティアーズとの関係は、「人」につきるといえる。動物園としてボランティアの人材養成をこころがける時にきている。ボランティア組織が定着するのは、愛好会組織から始まって十年かかるとみられるので準備は早い方がいいと思われる。
?Cボランティア活動の「形」は、それぞれ独自の方法を考えるしかなく、見本はない。ただ、年間入園者数からみる規模により、「形」は分けられるようである。入園者数百万人を超える園、五十万人程度の園、二十万人程度の園により活動内容と方法がことなってくる。
(文責 中村 元弘)