でっきぶらし(News Paper)

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飼育実習を終えて

                           (日本動物植物専門学院 櫻井 朋子)
 九月三日から約二週間、日本平動物園で実習ができ、とても楽しく良い体験ができました。一週間目に行った小型サルでは慣れない仕事で戸惑うばかりでした。サル達には、変な奴が来たぞとばかりにキーキーと鳴き声をたてて嫌われてしまいました。神経質な動物なので接し方が難しかったです。
 ここでは、栄養素の勉強を少ししました。猿は内部は人間と一緒だから栄養も考えて餌を作らなくてはならない。また個体によって食べる量も変わるのです。
 今まで猿と接する機会がなかった私は、ここで考え方を改めさせられました。元々あまり猿には興味がなかったのですが、知らない世界だったのでやってみたいと思い、希望しました。自分達に一番近い動物なので難しく考えなかったのがそもそものまちがいでした。種類の多さと、区別がつかずに、勉強不足がもろにでて恥かしかったです。
 代番で、サイ、ダチョウ、カピバラをやりました。サイ舎で私はおもいっきり失敗しました。サイ太郎の方の部屋の壁をジェットでおもいっきり洗ってしまったのです。サイ太郎が壁に自分の臭いをつけて安心しているのに、勝手な判断で洗ってしまいました。
 ただやればいいわけではなく、何故そうなのか考えながらやらなくてはいけないんだ、、動物も考えてやっている事を、人間の判断で邪魔されたのでは怒ってしまうだろうなと考えさせられました。
 サイに触れる事ができ、あまりの皮膚の硬さにびっくりした半面、耳の後ろやたるんでいる皮膚の間などはすこし柔らかくてもっとびっくりしてしまいました。
 サイのイメージはわりと獰猛なのかと思っていましたが、とっても気が優しく、おとなしくて、人なつこいとは思いませんでした。
 それに比べるとダチョウのあの威嚇の姿を見ると、またまたダチョウのイメージが変わってしまう、と言うように、動物園に行楽で来るのと、実習で来るのとは、とても動物達がちがって見えました。
 二週間目に、キリン、ゾウ、バイソンの大型草食動物のところに行きました。ここでは、広い所をいかに能率よく、きれいにできるかと言うのが私の中での課題でした。糞は大きく、場所も広く、デッキブラシで一生懸命こすって汗だくの毎日でした。
 やはりここでも動物のイメージは大きく変わりました。遠くで見ている分には、恐ろしさを感じない象やキリンも、いざ自分の目の前に立たられると、後ずさりしてしまいます。正直言って、逃げたくなったくらいです。
 でも「逃げるな」と担当者から言われて、鼻で探ってくる象の目を見ていたら、「大丈夫、怖くない」と思えてきて、不思議な気持ちになりました。キリンのシロウもあまりの大きさに、触りたいけど、触れなかったのに、シロウの方から私に近づいて来てくれて、人工哺育だからかなと思ったけど、うれしかったです。
 象もキリンも人に慣れているせいか、バイソンがやけに野生獣に見えました。バイソンのメリーに発情がきていて、ジミーが猛獣のうなり声の様な声を出して、メリーから離れないのを見て、感激と驚きで目が離せませんでした。自然の動物を見ている感じでした。
 今回の実習で一番勉強になった事は、動物を観察してみる事でした。サルにしても、キリンやバイソンにしても観察しているといろんな事が見えてきました。キリンの座っているところが見れたり、私が知らなかった事をいっぱい教えてくれました。
 ゾウの一日歩く歩数を右の前足に絞って、一時間ごとカウントをとってみました。ダンボとシャンティでは一時間で千歩近く違い、動く行動パターンも決まってきます。
 排便、排尿の回数も違い、同じ動物でも個体差がすごくあるので、一日観察しているとおもしろいなと思いました。これからも動物を観察しつづけていけるような目をもちたいと思います。
 デッキブラシのかけ方、ホースの使い方などいろんな事を教わりこれからも忘れずに、機会があったら覚えた事を使っていきたいと思います。
 動物を飼育する大変さ、そして飼育の楽しさを今回の実習で知る事ができました。自然の動物を見れれば一番良い事なんだけど、それが無理だから動物園がある。そして飼育をするのが好きな人がいる。絞られる者と絞る者がいるのは、言葉にするといやなものがあります。それは動物園にも言える事で、ある意味では しているのかもしれないけれど、私は動物を飼育する人を尊敬します。いつか自分もどこかで動物の飼育ができたらいいなと思っています。
 今回の実習で象に乗れたり、サイに触れたりと、めったにできない体験をする事ができたのでとてもうれしかったです。
 お世話になった皆さん、迷惑ばかりかけてしっかり仕事ができなかったのに、最後まで面倒をみて下さってありがとうございました。また機会があったら実習にも来たいと思います。本当にありがとうございました。

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