77号(1990年09月)4ページ
動物病院だより
今年は暖かくて、ちっとも秋らしい感じがしませんが、皆さんはどこかに紅葉を見に
おでかけになりましたか?
病院に保護されてくる鳥達も、カモ類がくるようになってきていますから、秋にはちがいないでしょうけれど…。
今年はそういったわけでいつまでも暖かいので、こまっているのが、ハエ。毎年、夏をすぎた頃より、一斉にハエの姿があらわれて、アメリカバイソン、マレーバク、シカ、サイ、子供動物のヤギ、今年はホッキョクグマにもサシバエがついて、動物達は、しっ尾をふったり足で身体をかいたり、見ていてかわいそうなくらいでした。
発生源をたたなくてはと、堆肥場の消毒をまめにやっているのですが、ハエの繁殖力にはお手上げの状態。
ささやかにも、ハエとりリボンをぶるさげたり、きひ剤を動物の身体に噴霧してハエをよせつけないようにしました。でも動物達もイライラするようで、ひどい時は餌も食べないありさまでした。あともう少しのしんぼう、がまんしてネ。そう願うしかない状態なのです。園内でこの時期、食事をする時があるかもしれませんが、申し訳ありません、お許し下さい。
さて、動物の話題となると、まずツチブタの赤ちゃんがあげられます。八月二十三日、出生時1740gであった体重も、現在10kgを超え、全身に毛がはえそろってかわいい盛りです。先日、東京から「ツチブタに会いたい」と四名の女性が来園され、ツチブタファンがいたとはびっくりしました。現在、夜行性動物間の一室に展示していますから、数?御覧下さい。
同じ夜行性動物館にいるベンガルヤマネコも八月二日に出産しました。出産といっても子のなき声をきいただけで、何頭生まれたのか、巣穴をのぞくわけにはいかず、ただひたすら子供が巣穴より外にでてくるのを待ちました。
以前、出産後二〜三日なき声をきいて以後聞かれず、子が食べられてしまったのではと心配したことがありました。けれど子はミルクをのんで満腹になれば、なかないもの、へたにギャーギャーないているのは、元気がよいのではなくてお腹がすいて、母親をもとめているのです。出産後、一ヶ月してひょっこり2頭の子があらわれました。
今回は八月二日に生まれたのだから、と指おり待つこと一ヶ月。九月七日に一頭赤ちゃんが巣穴からでてきました。今は、親とじゃれあって、やんちゃぶりを発揮しています。
もう一つ、夜行性動物館に新しく展示した動物がいます。それは「スローロリス」。名前の通り動作が、まるでスローモーション。これもサルの仲間です。この個体は、ニ年前の八月に、焼津で保護されました。その当時まだヘソの緒がついている赤ん坊だったので、ちょうど他のサルの人工哺育中だった松下飼育課員が母親がわりになって大きくしたものです。
今回は、夜行性動物館がお勧めです。
(八木 智子)
★来年はヒツジ年です。
来年は、ヒツジ年です。そこで、ヒツジについてちょっと勉強しましょう。
ヒツジ
偶蹄目 ウシ科
世界各地に分布 品種は約300
野生のヒツジは約250万年前の氷河期に西南アジアあるいは中央アジアの乾燥した山岳地帯で進化しました。
狩猟民は、ヒツジから食用の肉と脂肪を、衣類としての毛皮を、道具や工具のために骨や角をとりました。
そして、家畜化することによって乳、肉、羊毛といった三つの目的の為にいろいろと改良されるようになりました。
代表的な品種をあげてみますと
・メリノー
この種は、毛が一様に細く、大量の毛脂を含んでいます。
・コリデール
この種は、メリノー種と長毛種。特にリンカン種との交雑で作られた。
・サウスダウン
この種は、子ヒツジ肉生産の為に改良された。
・アワシ
この種は、乳、肉、羊毛、三用途種であるが、乳を多く出す。