でっきぶらし(News Paper)

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動物病院だより

 皆さん、一九九一年をどのようにおむかえでしょうか。今年は元旦からあいにくの雨。静かなというか、ひっそりとしたお正月となりました。
 今年の干支はヒツジなので、子供動物園の一角にあるヒツジ小屋の前には、りっぱな門松がかざられ、皆さんをおむかえしました。
 さて、昨年をふりかえってみますと、最初に書かれていますように、私にとって「人工哺育」のやり方についてもう一回ふりかえる時期となりました。今まで当園ではピグミーマーモセットからマサイキリンまで大小数多くの人工哺育をしてきまた。そうした中、テクニック的ミスは今までにそうなかったと思っています。
 そんな思いがつい自信過剰となり、夜間哺乳の日数を縮めたり、離乳の時期をはやめて、できるだけ劣力化をはかった結果、オグロワラビーの子の衰弱死、ツチブタの子のくる病という状態を引き起こしてしまったのです。反省あるのみ!!ごめんなさい…。
 いかに子供にとって乳より得るものが多いか新ためて感じた次第です。考えてみれば母元で大きくなっていればかなりの大きさになるまで乳を飲んでいる光景が見られているのですから…。いろいろな養分を含んだ母乳をそれだけの間もらって一人前になっていく過程からすれば、必要最小限度しか含んでいない人工乳を与えて大きくする人工哺育ではより多くの配慮が必要なはずです。この次、人工哺育を行なう機会があれば、より注意をはらって、子の観察に努めたいと思います。
 それでは気をとりなおして十一、十二月分の日誌をのぞいてみましょう。十二月七日、本川根よりニホンカモシカが保護されてきました。確か午後三時すぎに収容されたのですが、その直後から取材が殺到し、びっくり。今年これで四頭目の保護となったのですが、新聞、テレビがあいついで取材に見えたのは初めてのことで、最初は何事かおどろいてしまいました。
 話を聞いてみると、保護してくれた人が、おまわりさんで、本署への連絡をきいてマスコミの皆さんがかけつけたようでした。
 このカモシカのニュースをみた市民から「どんな餌なら食べそうか教えてください。」とか、「目が悪いそうだけど、この水を飲んだり、目につけたりするとなおるかもしれない」と、資料(水の説明)を送って下さった方もいて、いかに動物のニュースに関心をもつかわかりました。
 他には、新着動物がいくつかあります。
 まず、十一月十日にシシオザルが一ペア来園し、現在中型サル舎に展示しています。十一月二十三日に天王寺動物園よりアカハシハジロというカモの仲間が来園し、現在フライングケージ内で、他の鳥といっしょに展示されています。
 十二月に入り、七日オナガヒロハシ6羽、コウラウン18羽、翌日ゴシキヒワ10羽、ゴシキソウシチョウ10羽が来園し、熱帯鳥類館のジャングル展示室(通りぬけできる鳥舎)に展示しています。
 一九九一年が始まりました。いろいろな失敗をバネにがんばりたいと思います。今年もどうぞよろしく!!
                                           (八木 智子)

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