でっきぶらし(News Paper)

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日本平の好記録・珍記録 〜 草食獣繁殖No.1 〜

 別に今年のエトがヒツジだからといって、選んだわけではありませんが、日ごろあまり日の目を見ないバーバリシープにスポットをあててみました。
 「バーバリが生まれたよ!」
 「あっそう、またか。」と言われるぐらい、日本平ではバーバリシープはよく生まれています。数えてみますと、今までの20年間で出産回数76回、何と126頭もの子が生まれていました。
 もちろん草食獣ではNo.1です。
 この繁殖の元になった親は雄1雌2の3頭ですから、これはもう親子、兄弟姉妹入りみだれての近親交配のかたまりみたいなものです。その為か、近年、親の体型が小型化したように感じたり、子の面倒見の悪い母親がふえたりしています。ただ奇形等は一度も生れていません。
 生まれた子の数を色々調べてみました。76回126頭の子の内訳は、1子31回31頭、双子40回80頭、三つ子5回15頭です。もちろん生まれた子が全部育つわけではなく、近親交配の弊害かもしれませんが、死産や、生後1週間以内の死亡が、49頭。何と死亡率40%にもなります。出産児数における死亡率では、1子32%、2子40%、3子47%と、子の数が多い程、死亡率が高くなっています。あたりまえのことかもしれませんが、1子の場合は子の体も大きく、丈夫だし、親の目もいきとどく為、生き残る確立が高くなるのでしょう。
 年間の出産数では、昭和53年の13頭が最高で12頭というのが2年もありました。もちろん育った子を全部日本平で飼うわけにもいきません。今まで54頭が、他の動物園や動物商に引き取られていきました。
 つまり日本中に日本平の血統があるのですが、日本平の元親は上野産と名古屋産の血統で、つきつめれば、日本中の約270頭のバーバリシープ全部が身内といっても過言ではありません。
 現在、日本平のバーバリシープは17頭、そのうち3頭の雄の勢力争いがたえません。小屋も古く狭くなったので、そろそろ建て替えたり、数を少なくする時期に来ています。
 最後にバーバリシープに関しての不思議ひとつ、日本平は人工哺育に関しては、相当の技術をもっているつもりですが、今までバーバリシープに関しては、一度も成功していません。どうしたらいいのか、もし知っていたら教えて下さい。
(三宅隆)

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