でっきぶらし(News Paper)

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サルの話題を追って【コモンマーモセットの大繁殖】

 マーモセット類の中でどこの動物園ででも割合に見られるのが、このコモンマーモセットです。コモンの名が示す通り平凡だからでしょうか。
 でも、でも、七番目のメスとしてやってきた今のメス、繁殖力の旺盛さはとても平凡ではありません。凄いと思っていたアカテタマリンをあっさり追い越し、隣舎のエリマキキツネザル(七回、十九頭)をもあっと言う間に追いつき追い越してしまいました。
 何せ昨年一年間だけですら、一月末日に三頭、七月上旬に二頭、十二月上旬に三頭と、計八頭です。それに今までのを加えると、九回、二十頭です。その間に一度あった早産死(子は行方不明)を加えると、更にプラスαがつこうと言うもの。
 繁殖の流れを見ると、早産を除けばきっちり百五十三〜四日間隔です。いろいろなデータを取って、これ程見事な出産間隔を示してくれたサルは、他には見当たりません。子が生まれて、次の出産予定どころか、次の次の出産予定まで立てられたのです。最高の飼育係孝行でした。
 しかも、たくさん生めば死亡率はそれだけ高くなりそうなのに、オスに恵まれずに人工哺育した子を除けば、三頭生まれた時以外はちゃんと育て上げているのです。つまり十四頭の内の十二頭は、二番目の夫や息子や娘と一緒になって見事に育て上げているのです。
 さあ、これからももう少し頑張ってひと唐?張りしてもらおうと言うところですが、昨秋ひと足先に夫に先立たれてしまいました。残念ですが、メスの体を考えればこれ以上生ませないほうがよいのかもしれません。
 余生は、息子や娘とのんびりと過ごさせてやりたいと思うのが、飼育係の情。次の繁殖は、彼女の娘達に任せましょう。

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