でっきぶらし(News Paper)

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サルの話題を追って【クロミミマーモセットのいじめ】

 サルに喧嘩はつきものです。多少ギャーギャーやって、少々の怪我をしても動じるものではありません。又、よくも飽きずにやっていやがる、いい加減にすればいいものをぐらいです。
 私達の回りを見たって、夫婦喧嘩、親子喧嘩、兄弟喧嘩、仲間同士の喧嘩、枚挙にいとまがないじゃありませんか。多少の傷付け合いは、競い合いの一環として容認するしかないのです。
 だが、しかし、今回のクロミミマーモセットの父子喧嘩はかなり容相が違いました。黙視してはならぬ出来事でした。ある時点を境に、喧嘩から強烈ないじめに変化していったのです。
 十二月未日のある朝、いつもにないけたたましい叫び声がクロミミマーモセットの部屋より聞こえてきました。見れば父と子の顔が傷だらけで、特に子のほうが凄かったのです。が、理由はどうであれ決着はついていたようなので、今まで通り黙視することにしました。
 頭に血がのぼりきっていた父親は私が姿を消している間に更に攻撃、それだけでなく無抵抗のもう一頭の息子にさえかかろうとしたのです。その有様を見て、急いで分けて入院させたのですが、頭の傷以上にハートのショックのほうがひどく翌々日に息を引き取ってしまいました。
 コモンマーモセットとクロミミマーモセットは同種。男やもめのクロミミマーモセットが、コモンマーモセットのメスに恋心を抱きつつもどうにもならず苛立っていたのは承知していましたが、まさかこんな結果を招くとは―。
 息子への八ツ当たりがトラブルの原因でしょう。息子が親に逆らったのがよくなかったのでしょう。でも、まさかショック死するまで追いつめるとは、全くの計算外でした。サルと付き合って二十三年。どじの一ページが又加わりました。

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