85号(1992年01月)8ページ
あらかると【アクシスジカの未来】
アクシスジカは一九七九年に来園して以来、三十三回の出産を数え、その内成育したのはわずかに十四頭です。後は死産か、夜半から早朝にかけての出産で、親が面倒を見ない為にカラスに食殺されるかして死んでしまっています。
成育した十四頭の内十二頭は、初代のメスが生み育てたものです。このメスは大変面倒見がよく、二頭を死なせてはいるものの、いずれも子のほうに問題があり、母親の無責任によるものではありません。
現在七頭いますが、母親を除く他は全て自分が生み育てた子供達です。が、寄る年波には勝てず、ここ二回は難産による死亡と死産とが相次いでいました。
もうこれまでかと諦めかかっていた矢先に十五度目の出産、今まで通りの面倒見のよさを発揮してくれました。子はすくすく発育、最近では餌もしっかり食べるようになっています。
しかし、この母親の後を継ぐべき娘達の母親失格ぶりは、とてもこの母親が生み育てたものとは思われない程です。特に長女は今まで九回の出産を重ねましたが、その内無事に育て上げたのは一頭のみ。後は全て、面倒を見ない為にカラスに食殺されるか、冷えて衰弱死させています。
八回目に唯一育て上げているのですが、次回に成功してこそ本物と疑っていたら、案の定失敗してしまいました。悪い予感が、ずばり的中です。
このままでは、母親がいなくなるとアクシスジカの将来は暗いものです。娘達よなんとか母性愛に目覚め、子育てに励んでくれ、お願いします。
(池ヶ谷正志)