88号(1992年07月)4ページ
動物から学んだ子育て【トラのカズ】
現在、当園にいるメスには、「ミナ」という名前が付いています。この名前の由来は、37頭目に生まれた子なので「ミナ」とつけたのです。
このメスをうんだ母親の「カズ」は、結局38頭出産、そのうち27頭自分で育てたすばらしい母親でした。
出産時、私達がのぞいてもなんにもせず、落ちついたものでした。
また、子供達の成長をみようと親子を離して子の体重測定をしました。その後、「カズ」を部屋にもどしてもなにもなかったように子を舐め、身体を横たえ子がおっぱいをすいやすいようにしていました。そして、時々子の肛門を舐めて、常にきれいな状態にしていました。
そうして子が大きくなり、肉をかじれるようになると、しばらくの間は、子が満足するまで自分は食べずにじっと待っていました。
けれど子がある程度大きくなると、「カズ」は待つことをせず、子と争いながら食べるになりました。たぶん、生きていくことのたいへんさを教えていたのでしょう。その時期をどう見ているのか、すごいものです。