88号(1992年07月)7ページ
動物病院だより
残暑きびしい毎日ですが、お元気ですか?これからが夏バテで体調をくずしやすい時期です。くれぐれも御注意ください。
さて七、八月をふりかえってみますと、まずはうれしいニュースです。チンパンジーのデイジーが妊娠したようです。彼女の一番最初の子リッキ―は、今天王寺動物園に、二番目のセディは、上海動物園に、三番目のエディは一才四ヶ月となり昼間は、子供動物園そして夕方類人猿舎にいます。生んでくれるのはありがたいのですが、いずれもめんどうをみてくれず人工哺育。またまた担当者はミルクに、洗濯にと忙しくなりそうです。
今年も夏休み始まってまもない七月二十二日よりサマースクールが行なわれました。一年生は「動物となかよくなろう」をテーマにウサギ、ヒヨコをさわったり、ポニーに乗ったり、最後はヘビ、カメといっしょに水遊びをしました。
二、三年生は、「動物の角」をテーマに午前中スケッチをし、午後は角のある動物のお面をつくりました。
四〜六年生は、「動物の鼻」をテーマに勉強し、翌日一日飼育係になり、そうじをしたり、餌を与えたりしました。毎年たくさんの応募があり、なかなか全員が参加できず、ごめんなさい。
治療としては、八月二日ジェフロイクモザルのメスがオスに全身をかまれてしまい、その縫合手術を行ないました。今までオスとメスの仲はよく、トラブルらしいトラブルはありませんでした。それがなぜ?
担当者の長倉飼育課員の話によれば、トラブルがおきる前に、人工哺育しているジェフロイクモザルの子供を両親に見せに行ったとか。出産時、メスからオスが子を奪って抱いていた経過がありましたから、どうやらオスにとって飼育係が自分の子供を抱いているのは気に入らなかったのでしょう。やたら興奮していたということですから、そのとばっちりをメスは受けて傷だらけとなってしまったようです。
最初、肩の傷だけが深く見えたのでその処置だけを考えていたのですが、麻酔していざ見てみると、両肩、腕、手首、大腿部そして尾と、どこから手をつけたらよいか考えてしまいました。
そして、左手の腱はきれている状態でした。とりあえず縫合。麻酔からさめると、餌を食べてくれました。翌日ゝと、日増しに体力が回復していくように思われました。また、深い傷を負った左腕も少しずつ使うようになりました。
三週間後、無事退院。オスとの同居もスムースにゆき、なんとか事なきを得ました。問題は、この次の出産時、オスがどんな態度をとるのか心配です。
園内の変化として、フライングケージの網の張りかえ、そしてオオアリクイ舎の増築工事が始まっています。フライングケージは、開園当時の建物で、塗装も今までに一回やっただけとか、工事が始まる前に、ケージ内にいる鳥達を捕獲しなければならず、小さなケージに魚を入れ、餌を食べようと入った所を捕まえるとか…いろいろ案がでました。が、結局は、飼育課職員の共同作業となり、上で追う人、下で捕まえる人と分担作業をやり、二時間後、無事終了しました。
十月末には、きれいな網で覆われ、新築オープンする予定になっていますので、しばらくの間鳥が見られませんが、お許し下さい。
オオアリクイ舎は、現在四頭飼育されていますが狭くなり、今後の繁殖のためにもと今の獣舎のとなりに拡げる計画で工事が行なわれています。全国でもめずらしいオオアリクイの繁殖が一回でも多くありますよすに…。
(八木智子)