でっきぶらし(News Paper)

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オランウータンを語る?W(クリコ・育児への道)

 今年の夏は、どこか変でした。例年に比べて熱帯夜がすくないだの、雨が少ないだの、もそうですが、何より気になったのは、夏の“風物詩”とでも言うべきセミの発生がかなり遅かったことです。
 暑苦しくなるその声は、時にはいらいらすることさえあります。でも、いざ聞けぬ、少ないとなると、ふしぎと寂しさが募ります。
 実は、私には下心もあるのです。“風物詩”を大好物にしている「家族」を抱えているものですから、この異変は生活の一大事でもありました。
 私の担当しているリスザル、マーモセットの夏バテ解消策はこのセミなのです。ばりばりむさぼり食べる有様は、正に御馳走にありついた表情そのものです。
 どうにも、詩心のない夏の感じ方です。セミの鳴き声を聞いて、おいしそうではいただけません。それにしても、八月も半ばを過ぎてけたたましく鳴くなんて、やっぱりどこか変でした。

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